<< 宇宙へ。挑戦者たちの栄光と挫折  BBC | main | セラミックス 第53巻 12月号(2018年) >>

帝国宇宙軍1―領宙侵犯― 佐藤大輔

 さらば佐藤大輔。もう続刊が出ないことに悩まされる日は来ない。3巻まで出す約束を解説者としたらしいが、本作は公認の未完に終わってしまった。
 編集者も深い感慨をもって(未完)の結びをつけたはず。

 架空戦記でならした著者が最後に原稿をおこしたのはスライドによって宇宙の孤児になった人々が生み出した歪んだ国家の数々が争うSFだった。
 楽観主義的な帝国はいいのだが、古代ギリシアに範をとったとする「ヘレネス」統一体が韓国のあからさまなパロディにすぎた。個人的には、なんとなく著者の余裕のなさを感じてしまった。著者が大好きな諧謔というには露悪的すぎたのではないか。
 ヘレネス統一体が韓国だとすれば、自由星系共和国は中華人民共和国に当てはまりそうだ(国力は帝国よりも小さそうだけど)。自由星系共和国の住民は生きている間に野放図に性転換をくりかえす性向をもっていて、なかなか強烈だった。
 フリーダム・スターズから独立した解放希求同盟は情報不足すぎて妄想が広がった。自由からの解放とは一体?

 主人公である天城真守大尉のキャラクターは「ライトな新城直衛」っぽくて好感が持てた。そうすると、敵方のアストレア・イズモは、ユーリア閣下に当たるのかな(ラブシーンも描かれているし)。皇国の守護者のセリフパロディとして読むこともできたかもしれない。
 実年齢で考えてはいけない世界観には作者の願望が入っていそう。いや、作者だけではなく、読者も高齢化してきたか。

佐藤大輔作品感想記事一覧

帝国宇宙軍1-領宙侵犯- (ハヤカワ文庫JA)
帝国宇宙軍1-領宙侵犯- (ハヤカワ文庫JA)
カテゴリ:架空戦記小説 | 22:21 | comments(0) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

カテゴリ:- | 22:21 | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック