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特型噴進弾「奮龍」戦記1〜空母蒼龍ソロモン迎撃作戦 林譲治

 フォン・ブラウンが兵器をダシにロケットの研究を行ったように、林先生が兵器をダシにロケットを研究しようとする野々山大佐をダシに電探を開発させる作品。どれだけのバリエーションがあっても結局レーダーに行きつくな……どうしてもそれを避けたいのなら海戦時期そのものを30年代に改変してしまった方がよいのかもしれない。空母も未発達であるし、あんがい大艦巨砲主義者がハシャギ回るような戦ができるのでは。

 まぁ、でも噴進弾の研究がおざなりになっているかというと、そうでもなくて多摩技術学校出身の技術者たちが周囲の期待を一身に背負って何とか使える機械をつくりあげている。僥倖ではなく「普通に」機能した時はけっこう感動したのだが、そんな時に限ってロケットよりも射撃装置に興味のある登場人物がついているのが林流。
 だいたいあの射撃装置はどう考えても高射砲の機材として予算を得てまっとうに開発されるべき性質のもので噴進弾とセットになっている必然性は決して高くない。信管の調節がやりやすいとか、そのくらい。というか本人たちももっと広く使われるべきと考えているのだから、搦め手からしか革新的で良い機械をつくれない大日本帝国の技術に関する問題は根が深い。


 ミッドウェー海戦から始めたのはショック療法を効果的にするためだろうなぁ……海軍にとってのノモンハン事変のようなものを起こさない限り方向を曲げるのさえ容易ではない。
 それでも多摩技術学校の制定はかなりのトロフィーで、この世界の日本に生産はともかく開発レベルでは豊かな土壌を与えてくれる予感がある。あの組織の掲示板などは素晴らしく、また大学の正の部分を的確に捉えている。

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空母蒼龍ソロモン迎撃作戦―特型噴進弾「奮龍」戦記〈1〉
空母蒼龍ソロモン迎撃作戦―特型噴進弾「奮龍」戦記〈1〉
林 譲治
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:24 | comments(0) | trackbacks(0)

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