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インカ帝国の虚像と実像 染田秀藤 講談社選書メチエ129

 征服者たちが残した手記や報告書の多くはインカ帝国を偉大な帝国としてヨーロッパ社会に伝えていたが、それはインカ帝国の実像を正確に描いたものなのだろうか。
 そんな疑問への答えがしっかり考察されている一冊。

 「クロニカ」の新しいものは比較的最近にも発見・出版されていて、目新しい情報を伝えてくれている。スペインとペルーの両方の研究者が盛んに活動していることも興味深い。
 スペイン語を通じて議論が捗っていることであろう(同時代の出版産業の関係でイタリア語の能力もあった方がいいようだ)。

 問題となる情報の不確実性については自分たちの価値観でインカ帝国をみたヨーロッパ人のバイアスのみならず、ヨーロッパ人の取材をうけたインディオのバイアスがあることに衝撃を受けた。
 彼らは一枚岩とはまったく言えず、所属する集団に応じてもちあげる皇帝が違っていたらしい。インカ帝国内部の抗争を利用して勝利したわりに、クロニスタたちはそこに気づいていなかったのかな。違和感があっても、口述にたよらざるをえない点で限界があったのかもしれない。

 著者たちの経歴が簡単に紹介されることで、レコンキスタドールの簡単な伝記としても楽しめた。動機はともかく根性あるわ……。

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インカ帝国の虚像と実像 (講談社選書メチエ)
インカ帝国の虚像と実像 (講談社選書メチエ)
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