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戦国の城の一生〜つくる・壊す・蘇る 竹井英文

 「杉山城問題」によって引き起こされた議論をとっかかりの一つに、戦国時代における城の利用をみていく本。
 江戸時代じゃなくて戦国時代の城なのに、軍事的なイメージが薄くて(間接的というべき)新鮮な城の一面を知ることができた。杉山城問題みたいな城の編年と築城者の特定問題は、根本的には「金がない」に尽きてしまいそう。
 潤沢な資金があって専門研究者がいれば、片っ端から発掘調査と炭素年代測定法を使って、面倒な議論を吹き飛ばしてしまえる。それができず在野の研究者に活躍する余地があることは困ったものだが、おもしろい。
 今後もなかなか大量の資金を投入しての研究とはならない気がする。ただ、少しずつは増えていくはずで、そこからの類推で戦国の城像が変化していくかもしれない。
 読んでいて、そんな予感も覚えた。

 「縄張り」が同時代にはあまり言われていなくて「鍬立」などの言葉が使われているなど、トリビアもあった。城内の草木は意外と残っていたそうで、むしろ竹木の存在が城主の繁栄と同一視される部分もあったという。
 「城をわる」行為については特に詳しく述べられていて、破城にもいろいろな段階があって、場合によっては――というよりも、もしかしたら頻繁に再利用される事例があったことが分かる。
 また城の選地は大名といえども自由にできるとは限らず、地元住民や寺社の抵抗に遠慮する場合もあるらしい。あるいは忌み地や縁起のいい土地もある。今後はそういうことも考えて城の立地を読み解かなければならないようだ。

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戦国の城の一生: つくる・壊す・蘇る (歴史文化ライブラリー)戦国の城の一生: つくる・壊す・蘇る (歴史文化ライブラリー)
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