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殲滅ノモンハン機動戦・上 谷甲州

 覇者の戦塵シリーズで一番好きなのがこの巻だ。カドカワノベルスとC★NOVELSの中間にあるためか、作品のエッセンスが最大限に込められており魅了される。下級将兵の獅子奮迅、圧倒的な敵兵力、つたない戦争指導、各務中佐のウザさ――ないものは蓮美大佐くらいだ。
 秋津少佐や陣内大尉が救世主にみえてしかたないが、個人崇拝は別の意味で軍隊にとって危険。それでも秋津少佐には将官まで昇進して欲しいと思ってやまない。いろいろな志士が集って何かをなし遂げるのっていいものだ。
 上川大尉もここで大活躍している。段列とは思えないレベルの酷使されよう……戦車分析のスペシャリストとして南方戦線はどうなのだろう。反対に冴えないのが室生中尉でかなりの活躍とセンスを示したのに後がいまいち続かない。戦場が戦場だからなぁ。

 北満州油田の存在は両軍の意図にかなり大きな影響を与えているけど、兵力的な問題はあまり大きく変わらず、ソ連の欧米でみても異常に先進的な戦車と中途半端な兵力で戦う破目になっている。せめて47砲ならもう少しマシに戦えるのにとないものねだり。一号砲戦車があるだけでもかなりの慰めになっているわけだが、鹵獲戦車に頼らなければならない状況は悲しすぎる。
 それでも戦いを決めるのは正面戦力だけではなく「土木力」も含まれるとするところが重機人間ユンボル谷甲州作品らしいといえる。砲撃戦は東郷理論の部分的な実施だな。

 T−34のプロトタイプ砲塔を得た事はけっこう大きいはずだ。少なくともT−34と互角の戦車ならM4シャーマンよりやや上くらいにはなるから。まぁ、狂った兵員配置まで真似しちゃうかもしれないけど。
 速攻をむねとする戦車将校でも――いやだからこそ入念な事前偵察が重要である事が示されているのもよかった。山に縁の深い著者は見る意識のセンスがさすがに高い。

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殱滅ノモンハン機動戦〈上〉覇者の戦塵1939
谷 甲州
カテゴリ:架空戦記小説 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0)

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