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殲滅ノモンハン機動戦・下 谷甲州

 このタイトルの殲滅って「殲滅される」方の殲滅だよなぁ……。
 何とか史実のその事態は回避して新兵器の投入で大逆転というとてつもなく派手な展開を達成しそうになったのが下巻。ジューコフ司令官の運命を思うと完勝だったと考える事もできる。ソ連軍はドイツ軍の侵攻を凌ぎ切れるのか見物である。あんがいジューコフの非人道的戦術が行われないおかげでトータルの人的損害は減少するかもしれない――上村尽瞑はそこまで計算済みか!
 小早川少佐は永田鉄山も救っているし、参謀連中とは別の意味で将官に対する影響力が異常に大きい若手将校である。

 最後は小勢よく健闘した日本軍が、大軍ゆえの補給の不備に苦しんだソ連軍を辛くも撃退することになるのは関東軍に嫌な戦訓を残しそうで不安だ。どうせ海兵隊のことなど見てみぬフリをするに決まっているのだから報われない。
 それでも秋津少佐行動が三二師団の兵員たちを多く救ったことに変わりはなく、最悪でも重戦車開発が足を引っ張られるリスクは生まれなかった。それを喜ぶべきだろうな。

 十二試重戦車の設計思想はレッドサンブラッククロス世界の七式中戦車に似通ったところがある。重戦車を造らせるなら陸軍ではなく海軍の技術転用に任せたほうが有望だと考える架空戦記小説作家は多いようだ。まったく同意だ……。
 不満があるとすれば航空兵力の展開が目立たなくて、電撃戦の立役者となる航空対地攻撃への目覚めにあまり寄与がなさそうなことだろうか。ルーデルスコアならノモンハンのソ連軍を皆殺しにできるのに。
 まぁ、いろいろ理由はあるに決まっているし、ここは支援戦力の重要性に気付いてくれただけでも良しとしよう。

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殱滅ノモンハン機動戦〈下〉―覇者の戦塵1939
谷 甲州
カテゴリ:架空戦記小説 | 10:22 | comments(0) | trackbacks(0)

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