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撃滅北太平洋航空戦・上 谷甲州

 かつてこれほど少数の人間にこれほど多くの人間が振り回された事があっただろうか。
 カーネル蓮美の冒険

深町少佐「なんなんですか…ここ…どこですか……なんでわたし搭乗させられたんですか…」
蓮美大佐「だまりなさい」


 千島列島を巡る日ソの軍事衝突が発生し、実質上の軽空母光陽丸を中心とする海兵隊が難局に立ち向かう。技術士官だったはずなのに引きずり出されて機載電探による空中指揮まで経験する事になる深町少佐の苦労はキョン並である――エピローグで本来の任務にいそしんでいる彼が幸せそうに見えるのは錯覚ではないだろう。まぁ、蓮美大佐が涼宮ハルヒ以上というかレティシアとジョーズを足して自乗したような超絶生命体なのでしかたがない。
 それに比べて黒崎二飛曹の生き生きとしている事、海軍組織に不満のあったアウトローにとって蓮美大佐が魅力的な指揮官だとすれば、あれの本質は族のヘッドみたいなものかもしれぬ。もはや疑問は、蓮美大佐の生誕ではなく、軍組織そのものに拡大して行くのであった。
 成果さえあげれば昇進の可能性が残されている分だけ、他の官僚組織と軍隊は違うと言うことか……それにしても彼が大佐になれるほどの柔軟性があれば改革は相当進んでいるような、特例的すぎるような。

 内容はソ連よりも彼らを盾にして無尽蔵の兵力を叩きつけてくるアメリカの陰険さの方が不快感が強かった。ソ連のやり方は強欲でえげつなくて紳士的とは決していえないが正直ではあるのに対して、正義を求めるアメリカはそのために謀略の巷と化しているのが気味が悪い。理不尽な大国に付き合う身にもなってみれば、ふざけるなと言いたくもなる。
 総じて太平洋沿岸の強国は全体的に未熟なところがあったということか。

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撃滅北太平洋航空戦―覇者の戦塵1942 (上)
谷 甲州
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:04 | comments(0) | trackbacks(0)

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