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反攻ミッドウェイ上陸戦・上 谷甲州

 「戦いはまだ始まっていない!」

 史実をなぞるようなミッドウェイ攻撃部隊の被害は逆に南雲長官を逡巡の頚木から解放し、頼りになる司令官に化けさせたようにみえる。飛龍一隻で粘り強い反撃に邁進しているのだ。そこには源田機動部隊と揶揄された艦隊の印象はあまりない。
 おそらく勝っている間は参謀に任せていても良いが、蹉跌にあってこそ指揮官の真価が問われるということなのだろう。その点、南雲長官は南太平洋海戦で日本海軍機動部隊の有終を飾った経歴があるから、一両日の内に成長を見せても極端な違和感はない。
 まぁ、経歴を終わりにしないために攻撃に拘っているようにも見えないことはないが……そこは優秀な下級指揮官や輸送船が補う状況になっている。


 そして海兵隊空母光陽丸の活躍。この船の戦闘経験は北太平洋航空戦のおかげで最精鋭ともいえる。ちょうどソ連が指揮する米軍機と戦闘を経て、実際の米軍と激突しているのも段階を踏んだ実戦経験になっていて、おそろしいほどの練度向上をもたらしたのかもしれない。
 なんで海軍が海兵隊を真似しないのか、ある意味不思議で、ある意味納得である。……面の皮の装甲ではブローニング機銃は跳ね返せないぞ。

 さらにはミッドウェイの上陸戦まで開始されて戦場の錯綜度合は激しさを増していく。隣り合った要素が少しずつ重なり合い全体を動かしていくから、曲芸的な指揮によって全てを上手く進める事も、拙い指揮によって全てをご破算にすることもできる。
 要するに蓮美大佐ということだ――まったく説明になっていないが、これで説得できると信じる。

「ただの水兵に興味はありません。この中に熟練搭乗員、はぐれもの、若年兵、陸軍予備役がいたら、あたしのところに来なさい。以上!」

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反攻ミッドウェイ上陸戦〈上〉覇者の戦塵1942
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谷 甲州
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:19 | comments(0) | trackbacks(0)

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