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反攻ミッドウェイ上陸戦・下 谷甲州

 挟み合い。敵味方共に状況が整理できなくなりかけるほど無茶苦茶な陣形での空母部隊同士の殴りあいが行われる。米海軍の任務部隊編成はいいとして、日本海軍の本来のやりかたであれば、こんなことにはならなかったはずなのだが、二兎を追う欲張りな作戦がこの狂った状況をもたらした。
 小学生の時にプールサイドでやった遊びを思い出す。みんなで手の平を重ねていって最後に平手が叩きつけられるのだ。上手く自分の下にある手を押さえつけながら、落ちてくる手は避けるスリルが楽しめる。
 このミッドウェイ海戦も同様で上手く相手を挟んで押さえつければ、叩き潰せる反面、下手を打つと自分が叩かれる事になる。非常に難しい状況だ。その中で南雲長官も小澤長官も賢明な判断を下しつづけたとは思うものの、瑞垣少佐が感じたように釈然としないものは残った。回復力で劣るのは日本側なのだから多少の無理を押してでも大勝利を追及すべきではないのか?
 だが、史実の戦争指導が私が感じたような思惑で行われていた以上、被害を局限しながら継戦能力を維持する事が正解なのかもしれない。少なくとも史実と同じでは困るのだ、同じでは。

 けっきょく戦いの帰趨を決したのは不沈空母ミッドウェイをどちらが自由に使えるかという事であった。海兵隊の功績は空母二隻分相当に評価できる。プラスマイナスを考えれば四隻分としても過言ではない。
 また、ハワイ沖でサラトガを潰しておいたのも大きかった。もしも東からの圧力が二隻だったら小澤機動部隊は壊滅していただろう。後からまとめて振り返ってみるととてつもなく際どい勝利であったことが分かる……私なら下手な敗北よりも危機感を抱くだろう。はたして作品世界の日本海軍首脳部はどうかな。

 予断で黒崎二飛曹がしょんぼりしていたけれど、あんなの信じてもらうのは無理だよ。私は1500回出撃して戦車500輌以上を撃破したと主張するようなもの。まともな人ほど一笑にふしてしまう――うーん、現実は小説並には奇であるらしい。

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反攻ミッドウェイ上陸戦〈下〉―覇者の戦塵1942
反攻ミッドウェイ上陸戦〈下〉―覇者の戦塵1942
谷 甲州
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:18 | comments(0) | trackbacks(0)

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