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激突シベリア戦線・上 谷甲州

 カムチャッカ半島と沿海州に展開したアメリカ陸軍の重爆撃機による日本本土空襲。成都からの爆撃行の応用か。ソ連との間で日中戦争のようなあやふやな戦闘状態が継続しており、北満州油田に関連するいくたの補給作戦でアメリカが北太平洋航路に慣れていた事がこの発想を可能にしたのだろう。飛行場の交換条件としてスターリンにかなりぼられているだろうな、と想像すると楽しい気分にもなる。
 対する日本陸軍の迎撃体勢はかなりお粗末で、攻撃を受けて始めて具体的な対策が何とか動き出した状態。まぁ、風船爆弾の衝撃を受けた北米本土も割と後手に回っていた感じだから第一撃から準備万端待ち構えている組織の方が少ないのかもしれぬ。
 機材はそれなりのものがあったために多知川少佐の指導よろしく、それらの要素がすりあわせを得て有機的な迎撃が行えるようになっていくプロセスは史実と比べると頼もしい。
 それでも高高度爆撃への対策は難しい状態が引き続いているので、何らかの解決策が求められるところだが、この世界の地味さではジェット機の正式化は難しそうだし新鋭陸軍機の過給器装備と与圧化で何とかするしかなさそうだ……さもなくば100式司偵にロケット弾でも積むか?

 じりじりと展開される本土防空戦は日本が制海権を失っているわけではなかったために積極的なソ連への報復爆撃に移行する。戦場にされるほどのメリットをソ連はえられているのだろうか。想像以上にアメリカが不甲斐なくて――その原因の一部は潤沢な補給をしてやらないソ連にあるのだが――困惑していたかもしれない。
 なんにしてもここでソ連を戦場にするのは中国をそうするよりも遥かにいい。世界大戦全体への寄与が遥かに大きいからだ。同時に日本がいつまでもドイツの利益になる行動をしてやる義理はないので、米ソに楔を打ち込みつつ泥沼の戦いから離脱をはかるのも同然の事。
 まぁ、辻中佐をドイツに拘留させることができれば、それだけで大戦果といえる。ドイツの人たちは迷惑に感じるだろうけど。

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激突シベリア戦線〈上〉―覇者の戦塵1942
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カテゴリ:架空戦記小説 | 10:57 | comments(0) | trackbacks(0)

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