<< みんなが知りたい!ものの一生がわかる本 | main | しくみがわかる!ひみつがわかる!クロスセクション図鑑 スピード >>

ユグルタ戦争・カティリーナの陰謀 サルスティウス・栗田伸子

 古代共和制ローマ末期の二大事件、ユグルタ戦争とカティリーナの陰謀を当時の歴史家サルスティウスが記したものの翻訳。
 ついつい現代的な視点を投影して読んでしまう部分があることが面白い。
 ユグルタに貴族が買収されて正義が蔑ろにされている状況は日本の政治を、カティリーナに与する人々が大量発生している状況はアメリカのトランプ支持者を連想させた――正しい見方かはともかく。

 ユグルタ戦争にはユグルタ王の個性が影響するところが大きく、もっと最初から計画的に、揺るがぬ意志でローマとの戦争を行っていれば勝てないまでも、あんな末路にはならなかったと思える。
 賠償金を支払ってから戦争続行は無駄すぎる。カルタゴみたいに受け入れられない条件を後から突きつけられたわけでもないのに――その史実が判断に影響を与えた可能性はあるかな。
 戦場にあってのユグルタは優秀な将軍で、メッテルスとの戦いには手に汗を握らされた。また、正面衝突ができない場合でも、もっとも効果的な抵抗方法を選択している。
 ところでボックス王がスッラの身柄をユグルタに引き渡していたら古代ローマの歴史もまったく違ったものになったはず。自覚はなくても、その瞬間の彼は世界の運命を握っていた。

 カティリーナの陰謀はやったことの関係もあって反乱軍の責任が反乱者本人の不摂生に帰せられてしまいがちに見える。社会の構造的な問題を直視しなければ抜本的な解決には至らない。
 そういう意味でも無法な死刑に反対したカエサルの演説は興味深かった――力強さでは小カトーに敵わないが。ショックドクトリン的な似た手口は現代の社会においても見受けられるものだ。

カテゴリ:歴史 | 21:33 | comments(0) | -

スポンサーサイト

カテゴリ:- | 21:33 | - | -
コメント
コメントする