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激突シベリア戦線・下 谷甲州

 ソ連がアメリカの本土空襲に協力した事に業を煮やした日本陸軍のとてつもなく積極的な反撃。沿海州侵攻によるシベリア鉄道分断が挙行される。とはいえ字義ほど派手な作戦ではなく動員されるのは一個師団プラスアルファ、もっともシベリア鉄道に近い部分をついての限定攻勢だ。
 不毛のシベリアでは鉄道周辺しか開発されていないことから点を制圧する効果は中国大陸より大きくなっている点を押さえて一本の線を寸断すれば沿海州という面が制圧できるのだ。実に効率の良い戦いになっているといえる。
 もちろん、ソ連も自分達の弱点は重々承知しているからなけなしの戦力をかき集めて必死の反撃にでてくるわけだが――対地攻撃機まで学習した日本軍の果敢な反撃でノモンハンの再現になっている。また、だれか粛清されるんだろうなぁ……。

 100式重戦車の投入によってT−34にも圧倒されない機甲部隊戦が可能になっている点が樋野曹長に共感しつつ感動的だった。純粋な性能だけではなくまとまった数が揃って歩兵と連携しながら戦えているのがとても大きい。その文脈の中でロタ弾攻撃も評価すべきだろう。
 あの成型炸薬弾兵器は実戦投入が時期尚早だと技術士官に反対されていたが、ドイツで活躍している性能は発揮出来ていたのだから、さっさと戦場投入して実績を得てしまった方が良かったのだ。兵士に対する教育が不充分であった点はかなり差し引いて考えなければいけないけれど。

 ここで日本とソ連が中立条約を調印した事によってアメリカの焦燥は強まっていくに違いない。欧州の戦況はわりと連合軍優位に展開しているようだが、日本が貝のように守りの体制を固めてしまうと、中国もソ連も足場に使えない状況では正面から屍山血河を築いて内懐に肉薄するしかなくなる。
 タイミングさえ間違えなければ講和の可能性がわずかながら出てくるのだった。


激闘 東太平洋海戦1

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激突シベリア戦線〈下〉―覇者の戦塵1942
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谷 甲州
カテゴリ:架空戦記小説 | 10:47 | comments(0) | trackbacks(0)

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