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古代日本の超技術 改訂新版 志村史夫

 現代でも、あるいは現代だからこそ再現のむずかしい古代の技術について半導体の開発に携わってきた著者が独自の視点から解説をくわえたもの。
 古代技術の結晶である寺院に関連する技術が多い。そもそも後世で評価できる技術が、ほとんど寺の形でしか残っていないのかもしれない。
 宗教心は大事。

 呼吸する瓦の説明について、真空土練機から脱却して空隙の多い瓦を焼くことはメーカーにもメリットがあると感じた。原材料を減らせるわけで。
 空隙が多いと失敗せずには焼くのが難しいとはいっても、そっちもセットで技術開発をして解決していくことは出来ないものか。
 もはや投資に回せるだけの余裕がないのだろうな……。

 その点、製鉄業は採算度外視で古代の純粋な鉄を再現することができている。微量のチタンが含まれると分析があげられていたが、西日本の花崗岩は磁鉄鉱があるかわりにチタン鉄鉱を含まないタイプの花崗岩だった記憶が……?別の鉱物から進入してきたものなのか、非常に気になる。
 あと、「鉄鉱石」と「砂鉄」を対応する単語として使われることに違和感を覚えた。文脈から褐鉄鉱と磁鉄鉱を指しているのだが、磁鉄鉱も鉄鉱石に含まれるわけで。
 古代の鉄が錆びないと言われるのは、複数回の修理工事で低質なものがすでに弾かれた生存バイアス的な効果も働いていそう。
 正宗の刀に心鉄がない説については、他の本で旧日本陸軍が室町か鎌倉の古い名刀を切断して調査したところ、もっと複雑に鉄が織り込まれていて、その通りだったという話を読んだことがある。

 著者がインタビューした職人の発言もあわせて興味深く読ませてもらった。
 江戸時代の大工が荒いとダメ出しされているのは、古代の比較対象が宮大工だったからでは?とも思ったが、宮大工の棟梁が言っている以上は江戸時代の宮大工の仕事をみての評価かなぁ。

古代日本の超技術 改訂新版 (ブルーバックス)
古代日本の超技術 改訂新版 (ブルーバックス)
 五重塔や大仏を新造している青森県の青龍寺が何か凄かった。
カテゴリ:工学 | 22:02 | comments(0) | -

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