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ノモンハン戦車戦 林譲治

 ここまでくると史実ノモンハンの復仇というよりは、ソ連邦がノモンハン的衝撃を受ける話になってくる。かほどに日本軍の戦力展開は圧倒的なものになっている。満州国が根本では経済的な理由により中国から分離独立した事に端を発したノモンハン事変――モンゴル・満州国戦争というべきか――だったから日本軍の展開は後手に回ったはずなのに驚異的な戦力集中に成功した。
 ここで、もっとも恐るべきは数々の兵器の性能ではなく日本軍の即時展開能力ではないか。まぁ、兵器も充分にやりたい放題やってくれちゃっているのであるが。

 早乙女博士の毒電波研究は――彼にとってレーダー研究が方便だったように――作者的にはレーダー研究の方便だったはずなのに最後には見事炸裂してしまっている。これにはもう笑うしかない。他にも一種の悪夢的冗談である丁三四が正式採用されて本家T−34と砲火を交えるは、ゲルリッヒ砲である九八式速射砲が恐るべき破壊力を披露するは、かなり遊んでいる。
 個人的にはやっぱり単一企業による効率的な技術開発は社会主義的妄想に思えてしまって引っ掛かるのだが、実物が彼らの前に提供されているのならあまり深く突っ込むことはないかもしれない。
 第一次世界大戦で手酷い経験することで大きく外れなかった道を、第二次世界大戦でさらに修正すればとてつもなく狂った国家に成長することも避けられるだろう。どうにも騙されたような気がするが、未来は明るいのだ。

 未来は暗いけど明るいのが極東ソ連軍で、ヤクでハイになっているだけ!とも言える。Yak戦闘機のパイロットがヤクをやっているのは大日本帝国航空隊戦記だけ!!――洒落になってない。
 スタハノフやマキシム・ゴーリキーの艦長と政治将校の関係をみるとまるでシェイクスピア喜劇になってしまっている。それにしてもマキシム・ゴーリキーの異常な狙いのよさは何だったのだろう。初弾夾叉なんてキチガイ戦記の日本海軍くらいしかやらんような真似を二回連続で達成してしまうのだから魔女の婆さんがついていたとしか思えなかった。

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カテゴリ:架空戦記小説 | 12:12 | comments(0) | trackbacks(0)

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