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黒龍江陸戦隊 谷甲州

 満州とソ連の国境を分かつ河川、黒龍江。この国際河川をめぐって日本とソ連の思惑が絡んだ馬軍と満州軍、関東軍の戦闘が交えられる。複雑だが単純だ。要は制海権の一変形、河川を通路として使い物資と人員を自由に移動させられる方が主導権を握るのだから。

 そこで出てくるのが哨戒特務艦「禄剛」で、この巻はこの艦が主人公と称してもいいかもしれない。強力な河川砲艦であるだけではなく、マスプロダクションの考えが日本海軍で初めて反映された革新的な艦でもあるのだ。
 A−140のような巨大さはないけれども、戦いぶりの勇ましさは決して他に劣るものではない。使い勝手の良さや撃たれ強さを勘案すれば、日本海軍でも屈指の優秀さを誇る艦とすらいえるのではないか。
 その出自もなかなかおもしろく、今までジワジワと進められていた重機の開発が船渠の掘削に影響して建造が具体化している。物語の中の因果を感じさせるエピソードだった。

 そもそも日露戦争以後の日本海軍の役割はこういうソ連や中国との河川を含む国境の警備に集中しているべきだったのに、と思ってしまう。トチ狂ってアメリカを仮想敵になんかするからロクでもない目に遭うのだ。畜生。
 それに国境線に陸海軍が共存すれば、互いに牽制しあって馬鹿な暴走が少しは減ったはず。政府がそれなりに有能ならば間をとりもつことで状況を制御できる。
 実際作中で行われているのはその通りの行動なのだが、少々遅きに失した感はある。それとも寸でのところで間に合ったのか。
 判断は今後の歴史次第に任せるしかあるまい。

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カテゴリ:架空戦記小説 | 00:21 | comments(0) | trackbacks(0)

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