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月と闇の戦記三 神様はしらんぷり。 森岡浩之

 とんでもない方向に到達してしまった。古典SFに全ての物理法則は人間が勝手に作り出したとするものがあったけれど更に突き詰めて、その能力を一身に濃縮した存在を造ってしまった感じ。
 今までの天地創造がはじめに神ありきならば、この話ははじめに天地ありき。トップダウンを諦めた造物主がボトムアップを試みた結果だろうか。

 急ぎ足で完結まで持って行ってしまったが、それだけに密度が高くて楽しめた。隆生の優柔不断ぶりも現代っ子らしいと受け取れば納得はできる。ただ、キャンプの伏線は1巻の記憶があまりに遠く曖昧だったために上手く受け取れなかった。二巻でもう少し強く振り返ってくれていれば印象が変わったかもしれない――やっぱり最後は間尺の問題に行きつく。

 ロマンスの欠片もないのもちょっと残念だったな。「神は恋をしない」なんて多神教の法則に反しているのだからビシバシ恋すべし。結宇とも5歳差しかないのだし、ちょっとは甘い期待を含ませてくれても罪にはならないと思うのだ。
 まぁ、私がロリコンなだけだけど……。


 ラストバトルはファンタジーの超能力戦よりもウルトラマンの巨大化戦闘だと考えたほうがイメージにしっくりきた。銃を作り出した高寺は新世界の神候補として、霊格を大いに上げたような気がしたが、別にそんな事はなかったぜ!隆生にやる気がないから。
 楓のパワーアップもいまいち咀嚼できなかったが、あれは隆生が彼女は「暴力的で強い」と強く信じたから生じた現象だったのかなぁ。神々の解放は後からみれば消えるロウソクの最後の輝きであった。

 少し寂しい世界に、それでも親愛の情を込めて。終幕。

神様はしらんぷり。―月と闇の戦記〈3〉 (角川スニーカー文庫)
神様はしらんぷり。―月と闇の戦記〈3〉 (角川スニーカー文庫)

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