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平成悪党伝 谷甲州

 ひょんなことでヤクザから拳銃を譲られた建設社員の玖珂は、天下り社員用の部署に一種の人身御供として回されて腐る日々から徐々に決別していくのだが、新しい仕事には陰謀があって……。

 表紙に拳銃を載せているわりには拳銃の活躍機会が思ったより少ないのが拍子抜けだった。実際の威力よりも遥かに武装している事実による精神的な作用の方が大きい。弾数にも限りがあるし、拳銃なんて滅多に使う物でない事が感じられる。日本社会だし、一生に一度も使う機会のないままだったとしても不思議はない。
 アクションシーンは拳銃の効果よりも、むしろ一サラリーマンの玖珂が信じられないほどクールに戦っていたことが印象的だった。さすが谷甲州キャラクターらしく、頭が冷えている。

 谷甲州キャラらしいといえば、玖珂に拳銃を譲った元ヤクザの花瀬も別の意味でそうだった。以蔵を思い出させるクレイジーな拷問行為。どこらへんがカタギになったのか、さっぱり分からないがヤクザの手口はある意味、興味深かった。やられるのが悪人の男で悲しいのか嬉しいのか判断の難しいところだ。あまりリアルに想像するものじゃないのは間違いない……。
 建築会社や談合の裏事情を解説しつつ、その暗部との一個人の戦いを描いてみせるのは流石に元々業界につとめていた人らしい。談合のメリットも公平に説明しつつ、その上で問題点を指摘しているから建築業界への真摯な危機感が伝わってきた。
 けっきょくは官僚組織が代わってくれない事には限界があるようだが……もし、梁川文書のようなものが連発されれば少しずつでもまともな方向に変わっていってくれるかなぁ。
 どうも暗澹とした気持ちになってしまう。

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谷 甲州
カテゴリ:ミステリー | 11:41 | comments(0) | trackbacks(0)

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