死霊都市の王 神坂一
2007.09.05 Wednesday | by sanasen
ガーヴを軽く消し去る冥王フィブリゾによって、ガウリイ=ガブリエフがあっさりと人質にとられ一躍お姫様キャラとなった彼を救うためにリナたちはサイラーグを目指す。道中シルフィールを仲間に加えた彼らは『レゾ』に滅ぼされたはずの街にたどりつくが――。
ともかくフィブリゾの圧倒的な強さが鼻につく話だったが、同時にそんな相手に向かっていけるリナたちの勇気に感動させられもした。これを愛と正義といわずして、何という!……やっぱちょっと違っているかもしれない。
とはいえアメリアを除く当事者が照れているだけで、そういう良心が奥底にあると考えたほうがしっくりくるのも確か。リナが急場でみせたあれも一種の本能のようなものだろうか。
前半で喧嘩を売ってくるラーシャートは総括すればなんとも憐れな魔族であった。悲劇的ではない魔族ってのも合わないけれど、彼の場合は中間管理職的な情けなさを帯びていたが大きい。
あの任務を請け負ったのがゼロスだったら上手くやった気もするが、もともと獣王に借りていた人材、負傷までしているのにおいそれと追加任務を課すわけにはいかなかったのだろう。フィブリゾも人材不足である――あの性格なら人材に恵まれなくても無理はないが。
やっぱり魔族の部下は親の性格に似るのだろうし、自分に似た神官たちをフィブリゾが使えばメチャになるのは目に見えている。なかなか上手くいかないものよ。
気がつけばリナとガウリイの絆もずいぶん強いものになっていて、それを素直にあらわさないところがいかにも彼ららしいと感じる。そういう人間が相互変化まで含めて生き生きとしている点がスレイヤーズの良さなのだよなぁ。
死霊都市の王 (富士見ファンタジア文庫―スレイヤーズ)
神坂 一
ともかくフィブリゾの圧倒的な強さが鼻につく話だったが、同時にそんな相手に向かっていけるリナたちの勇気に感動させられもした。これを愛と正義といわずして、何という!……やっぱちょっと違っているかもしれない。
とはいえアメリアを除く当事者が照れているだけで、そういう良心が奥底にあると考えたほうがしっくりくるのも確か。リナが急場でみせたあれも一種の本能のようなものだろうか。
前半で喧嘩を売ってくるラーシャートは総括すればなんとも憐れな魔族であった。悲劇的ではない魔族ってのも合わないけれど、彼の場合は中間管理職的な情けなさを帯びていたが大きい。
あの任務を請け負ったのがゼロスだったら上手くやった気もするが、もともと獣王に借りていた人材、負傷までしているのにおいそれと追加任務を課すわけにはいかなかったのだろう。フィブリゾも人材不足である――あの性格なら人材に恵まれなくても無理はないが。
やっぱり魔族の部下は親の性格に似るのだろうし、自分に似た神官たちをフィブリゾが使えばメチャになるのは目に見えている。なかなか上手くいかないものよ。
気がつけばリナとガウリイの絆もずいぶん強いものになっていて、それを素直にあらわさないところがいかにも彼ららしいと感じる。そういう人間が相互変化まで含めて生き生きとしている点がスレイヤーズの良さなのだよなぁ。
死霊都市の王 (富士見ファンタジア文庫―スレイヤーズ)
神坂 一