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鋼鉄のレヴァイアサン 横山信義

 全長400メートル、最大排水量21万8千トン、主砲は58口径25インチ(62センチ)砲9門。海に浮かべる悪い冗談。ロシアの鋼鉄のレヴァイアサン、トハチェフスキー級戦艦「ヴァツーチン」。
 この化け物が存在する大艦巨砲主義が幅を効かせる異世界での、米露艦隊決戦と日本軍機による航空攻撃の顛末が描かれる。
 ヴァツーチンの25インチ砲一斉射撃は確かに「何か」の開幕を告げる砲声だった……。

 しかし、この199X年に戦艦を海軍力の根幹にするのはあまりにも無謀というか、柔軟性がない判断だ……例え八八艦隊物語の歴史をたどったとしても、戦艦は海戦の主力になるのがやっとであり、現代シーパワーの根幹をなすのは空母になったことは疑いを差し挟む余地がない。
 制圧できる海洋の範囲を考えてみればわかる。艦砲の射程にたいして対艦ミサイルは遥かに優り、艦載機はさらに優る。戦艦だけを攻撃目標にしていれば、良いってものじゃないのだ。地域紛争等での運用を考えても、中心となるのは空母とその艦載機であり、戦艦はもっとも巨大な「空母護衛艦」にすぎない。
 それが現実的だと思うので20世紀末に戦艦同士の殴りあいが行われることはともかく、空母がまともに整備されていないことは理解しがたかった。アメリカ海軍の空母はハリアーを搭載したエセックス級の改装品、ロシア海軍に至っては空母をもっていないのだから泣かせる。フリートビーイングに近い形で兵備をととのえればいいロシアはともかく、アメリカは世界覇権をどうやって維持していたのか疑問が尽きない。

 まぁ、そういう致命的なツッコミどころを無視すれば、非常に劇的でスペクタルに満ちた戦いが、臨場感あふれる描写力で具現化された楽しい作品であった。元が同人誌であったのも納得の要素に充溢している。
 登場人物が司令官クラスを中心にステレオタイプすぎる傾向はやや不満だったけれども。

鋼鉄のレヴァイアサン―八八艦隊物語
横山 信義
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:16 | comments(0) | trackbacks(0)

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