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導きの星1〜目覚めの大地 小川一水

 神様ごっこは浪漫だ。その浪漫を地球文明を歪にまでして遂行している恐るべきSFが導きの星である。この手の作品が私の心を躍らせてくれるのは、創造と発見はひじょうに近しい関係があるからかもしれない。見つけることは「自分の中で認識を創ること」に他ならず創造的な行為なのだ。逆にいえば、創造することは見つけることなのだ、きっと。
 だからそのふたつが相乗される神様ごっこのSFにはすばらしく目を瞠らせる現象が尽きないのではないか。

 惑星オセアノに存在していた原住知的生命体「スワリス」に火を教え、伝説をつくり、ちょっとしたやり取りのなかでもカオティックに歴史を変化させていく。その強引なほどの関わり方が、別世界の中に主人公たちの存在を感じさせておもしろい。
 初めのうちは主人公のC・O辻本司の未熟さもあって苛立たしい場面も目立ったのだが、鉄器文明以降にはスワリスの文明そのものが中心的な存在となっていったので素直に楽しめた。

 それにしても実感するのは私に小川一水先生のキャラクターが合わないって事である。他の作品でもそうだったのだが、どうも異郷の伝統料理みたいに口に合わない性格の持ち主が多い。はっきりいえばエキセントリックすぎるのだ。戦争馬鹿のバーニー、博物学馬鹿のコレクタ、経済馬鹿のアルミティ、目的人格と呼ばれる三体のアンドロイド全てが極端な正確で合わせるのが苦しい。もしかしたら、自分に似ているせいで嫌いなのかもしれないと思って余計嫌になった……経済はともかく戦争馬鹿と博物学馬鹿は性格は駄目でも気持ちは分かるのだ。
 せめて人格が一体に統一されたままだったらとも思うのだが、三体に分かれているからこそ効率よく文明化作業を行えるのだろう。どうにも歪みは否めない。
 まぁ、主人公そのものが獣コンプレックスの変態である素質をみせているので、そういう人々だと思って付き合うしかないのだろう。
 ストーリーや世界は好きなだけに辛いところだ。


 地球の生産性の過剰発達によって120億人の殆どが無気力化した状態の設定が最後に語られていたが、それをみて未来を変えられる自分たちはもしかしたらとても幸せなのかもしれないと思ってしまった。納得はできるがあまり美しい未来像ではないな。
 それにしてもあの地球への帰属意識を喚起できない状況で統合国連はどうやってC・Oを管理しているんだろう?下手をすると嘘の報告を行いながら管理惑星の軍事力を育成して地球に侵攻をくわだてるC・Oだって出るぞ?
 むずむずする設定が多いのだが、だからこそ話が進むのも事実。素直に神様ごっこを楽しむ話では多くの読者は得られないからなぁ……。


同系の作品で古典はこれかな?
竜の卵 (ハヤカワ文庫 SF 468)

導きの星〈1〉目覚めの大地 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)
小川 一水
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