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覇者の戦塵1943〜空中雷撃 谷甲州

 戦場は日本。それも本土決戦というわけではなく、技術を発展させようとする深町中佐と無線傍受でアメリカの最新鋭空母の戦力を把握しようとする大津予備中尉の戦いが中心となっての日本を舞台にした戦いだ。
 地味といえば限りなく地味だが、そんな地味なものを1巻分も連ねて読めるものにできる架空戦記作家は一握りに満たないだろう。そして実行しようと考える変人は谷甲州以外にはありえない。
 地味すぎて目覚しいほどの側面をもつ巻である……。

 深町中佐の直面してる問題は陸軍の対戦車ロケット弾を知ることができれば、解決方法を示せそうな気がした。成型炸薬弾なら空母の舷側装甲を抜けるはずだ。それに水中爆発を狙うと推進剤の焼夷効果が期待できない――期待するのは邪道か。
 重量の制約や技術開発の状態を考えても、ロケット発射型音響追尾魚雷は採用不可能だ。いろいろ突破口を考えても丸大兵器の過激なコストから「決戦用の温存兵器」にされてしまう気配が濃厚だったりする。
 アメリカ乾坤一擲の大艦隊を撃滅するために陸続と出撃した銀河ががっぽんがっぽんと丸大兵器を乱射。公算攻撃で次々と炎上する米艦隊に襲いかかる南雲機動艦隊……全然らしさがない。できれば潰しの効く兵器に育ってほしいものだが、深町中佐の秘策はいかに?
 あと、早々に陸軍との協力体制を確立してほしい。それどころか海軍内でも情報交換が行えないなんて泣きたくなってきた。生き残れるのか、この戦争。

 大津予備中尉の通信傍受の仕事はあまり描かれないので新鮮さがあった。
 インディペンデンズ級軽空母やエセックス級正規空母の搭載機数が微妙に少ないと思ったら、露天繋止を行えない航路で……なるほど。手持ちの情報が増えれば、僅かな事からより多くの推測ができることを実感できるエピソードだった。

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空中雷撃―覇者の戦塵1943 (C・Novels 41-36)
空中雷撃―覇者の戦塵1943 (C・Novels 41-36)
谷 甲州
カテゴリ:架空戦記小説 | 01:05 | comments(0) | trackbacks(0)

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