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ローマ人の物語機船蹇璽泙楼貽にして成らず 塩野七生

 テヴェレ川ぞいの七つの丘がそびえたつ地に羊飼いの親分に引き連れられた3000人ばかりのアウトローたちがアジトを定めた……はじまりはそんな事だったのだろうが、彼らのつま弾き者ゆえに他者に寛容な性質はやがてはイタリア中央部をそして全土を飲み込み、巨大な運命共同体を建設するに至る。その過程が楽しめる。

 途中に挿入されたギリシア事情がかなり冗長で、すぐにはローマの状況に照らし合わせられないのが気になるものの、黒い泥炭層のむこうにいるような時代の人々の事績がつぎつぎと示されるのは気持ちがよい。
 個人的には対サムニウム戦が妙に気に入っている。エペイロス王ピュロスとの戦いはもっと綿密にえがき図解を交えてくれたら、と思ってしまう。まぁ、敵がローマとの戦争中にシチリアに浮気にいっちゃう人だから常軌を逸した執念を身に纏いながら常軌をよそおえるほど異常なハンニバルとは話の集中させやすさが違うのだろう。対タレントゥム戦ではカルタゴとの同盟もあったのだから、そのあたりを考慮して視点をローマに偏らせすぎないでほしかった気はするが。

 それにしてもローマという共同体の成長過程はまったく不思議なものだ。都市国家から、その連合体になるくらいは良くあることだが、さらに同質化を進めて地域国家、最終的には覇権国家まで脱皮してしまうのだから尋常じゃない。
 「民族」ではなく「都市」を基盤においている点でローマの特殊性は相当のものではないか。それもこれも戦争で破った相手を平然と取り込んでいく、効果は理解できても実行は容易ではない真似が彼らにはできたからだ。

 基本的に周辺の敵がほどよく分裂していて、自己の巨大化にあわせて敵の規模を拡大させていけた事も幸運のひとことで説明してよいものか……外交・軍事の努力もさることながら、並の国家なら何度も滅亡しているレベルの危機に直面しても挫けず、自己改善を怠らなかったローマ人たちの精神力はまったく凄まじい。
 のけ者であり――周辺民族にとっては――無用の土地に追いやられて逃げ場を失った袋小路のメンタリティが彼らを極限まで成長させたのかもしれない。

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ローマ人の物語〈1〉― ローマは一日にして成らず
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塩野 七生
カテゴリ:歴史 | 12:24 | comments(0) | trackbacks(0)

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