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ローマ人の物語供船魯鵐縫丱訐鏥 塩野七生

 地中海の女王カルタゴと若き武闘派国家ローマの三度にわたる激突が描かれるローマ人の物語2巻。彼らの強靭、凶悪な性質がどうやって獲得されたのか良くわかる。一種の蟲毒づくりみたいなものだ……。
 けっきょくハンニバルが鍛え上げたもので残ったのはローマだけではないか。スペインで育ち、野営地に暮らした彼にはカルタゴに残せるものがあまりなかった気がする。それよりよっぽど干戈を交え、ある意味かれが鍛えたローマ軍のほうに親しみを持っていたりして。
 しかし、彼には父の前でバール神におこなった誓約がある。実は古代最強のツンデレがハンニバル・バルカだったりしたら堪らんなぁ。
「べ、べつにローマ軍を鍛えるために10万人以上を抹殺してあげたわけじゃないんだからねっ!!」
 ……これじゃあヤンデレだよ。
「ふんっ!私があなたに勝ってればアレクサンドロスを超えて一番だったんだから!!」

 さて真面目な話、ハンニバルに勝算はあったのだろうか。陸路からイタリアを衝くしかない現実は塩野先生の説明された通りだと納得できたが、そもそも制海権を奪いにいくという発想があってもいいはずだ。
 おそらく沿岸航法が基本的なこの時代では上陸作戦でシチリアやサルディニア、コルシカを制圧できなければ制海権の確保は難しかったから、つまり陸戦でも海戦でも強くなければローマ侵攻は現実的ではなかった事からハンニバルは制海権奪取の考えを捨てたのかもしれない。そもそもカルタゴ人の癖に海への親和性が低いようなのだ、カルタゴの英雄は(シリア海軍を指揮して海戦に負けてるし)。
 あるいはもう少し国力増強につとめ、東側のヘレニズム諸国と同盟関係を樹立した上でローマに襲い掛かるべきだったか――彼の手腕では包囲網強化どころか、カルタゴ本国との関係まで微妙になりそうだ。うーん、やっぱり彼の資材ではあの時点でローマに喧嘩を売るのがベストに近い選択だった気がする。
 悲しくも安心してしまう人間的限界が、あの若き天才戦術家にも間違いなく存在していたのだなぁ。ローマ人たちが自分たちの方針に自信をもってスキピオに否定的になるのも、むべなるかな。

 しかし、やっぱり当事者たちの意識の問題は気になる。彼らは地上を戦場にしながら結局は西地中海の制海権を争っていたのだと思う。

 この本はタイトル通りにハンニバルの行動に多くの筆を割いており、多少不満がある。補完できる本は以下のようなものが思いつく。

ヘウレーカ 岩明均:シュラクサイ攻囲戦をえがいた漫画

陥落・攻城戦:第三次ポエニ戦役の攻囲戦が詳しい

カルタゴ戦争―265BC‐146BCポエニ戦争の軍隊:主に軍装について両軍の実態がわかる

カルタゴの運命:変則的な形式の小説だがボリュームが凄い。入門的な本を読んだ後に

ローマ人の物語〈2〉― ハンニバル戦記
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塩野 七生

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