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特型噴進弾「奮龍」戦記2巻〜死闘!!ガダルカナル上陸作戦 林譲治

 噴進弾という優れた兵器を開発できていても、総合的な戦力発揮では米軍に一歩及ばず、苦戦を余儀なくされる日本軍。特に艦政本部第一部と多摩技術学校の対立によって生じた軋轢からくる問題は歯痒いものがある。組織防衛が祖国防衛に優先されてしまっているような状況を心穏やかにみる事はできない。彼らも前線に技術者を出向させれば少しは態度を改めるだろうか?まぁ、あの様子だと前線が本土になるまでそれは実現してくれそうにないが……。

 事実上の対艦誘導弾である「鵞鳥」の活躍が際立った。けっきょく技術的奇襲と対空見張り能力の低い敵を夜間に攻撃する戦術的奇襲のたまもので得られた戦果だったが、通商破壊戦での応用性にはかなりの夢がもてる。伊一九潜が仕掛けたような攻撃を戦線後方で繰り返せば、アメリカの空母戦力をかなり引きつける事ができるはず。
 ただし、水上見張り電探の性能で互角以上でなければ苦しいのがネックになるか――護衛駆逐艦レベルに高性能電探の装備を強要するだけでも無駄ではないけど。

 この作品でいちばん惜しく感じるのはそういう技術を戦略戦術に応用する用兵側の発想が貧弱なことだ。おかげで技術士官がそこまで踏み込んだ開発をしなければいけない状況に陥っている。例外は空母蒼龍の柳本艦長だが、自分の艦以上の影響力は大人しいからなぁ――林先生にとってはそれで充分で、蒼龍をテストベッドとして海軍に技術導入をさせる構想なのかもしれない。
 それにしても皮肉なタイトルだ。実情は撤退作戦であるのに上陸作戦と表記せざるをえないのは販売に関わる問題だろう。時を隔てて架空戦記小説に大本営的表現が使用されるのを見る破目になってしまった。

特型噴進弾「奮龍」戦記1〜空母蒼龍ソロモン迎撃作戦感想

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死闘!!ガダルカナル上陸作戦―特型噴進弾「奮龍」戦記〈2〉
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林 譲治
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:12 | comments(0) | trackbacks(0)

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