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新世紀日米大戦1 大石英司

 執筆時20年後の2018年の状況を占う近未来クライシスだったけれど、気がつけば折り返し地点まできていた。日本の財政状況についてはまったく予想通りに困ったことになっていきそうな感じ。この世界の日本はまだ、中国と仲がいいようだから救いがあるけど、現実の日本は……どこか離島に経済特区でもつくるか?
 まぁ、仲がいいのもほどほどに、イギリスにけしかけられて日露戦争に挑んでいったように、中国にけしかけられてアメリカとぶつかりにいく流れに乗ってしまっている。

 近未来的な新兵器の数々が魅力的かつ戦場を変えるものとして描かれているのも特徴だ。超音速巡航戦闘機、レールガン戦車、人型戦闘ロボット――どれも戦争のありかた自体を変えてしまいかねない力をもっている。
 しかし、戦争が人間のおこす愚行であることを変えるまでには時間が足りない。そのギャップが困った状況をもたらしそうだ。

 医療事故で20年間眠っていた朝倉伸吾が浦島太郎として目覚め、執筆時の現代人として未来に投入される描き方は変化を読者に分かりやすく伝える手としてうまい。
 彼の家庭の崩壊が日本社会の崩壊に被って強烈に鬱な印象を与えている。未来はバラ色の世界が待ち受けていると日本人が素直に信じられなくなったのはいつからだろう?バブル崩壊からかな……。


 この世界の歴史では朝鮮統一は2004年におこり、関東大震災は2007年11月4日に起こった事になっている。前者は思いっきり外れてしまい、後者はなかなか怖いカウントダウンだ。当たってほしくない方に限って当たったらやだな……。
 朝鮮が統一し、台湾が独立したにしてはあまり日本にそのあたりの政治的影響が感じられなかった。何よりも日本をとりまくビッグパワーはアメリカと中国なのか。満州が独立国として大陸に存在し続けていれば――と思わないでもない。

新世紀日米大戦〈1〉笑顔のファシズム (C・NOVELS)
新世紀日米大戦〈1〉笑顔のファシズム (C・NOVELS)
大石 英司
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:21 | comments(0) | trackbacks(0)

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