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母なる川ヴォルガ ナショナルジオグラフィックDVD

 ヨーロッパロシア中央部をカスピ海にむかって流れる偉大な河川、ヴォルガを下りながらソ連解体後のロシアを旅するドキュメンタリー。期待していたよりも社会面色が濃く、自然は副次的な扱いをされていた。できれば最上流から話を進めて欲しかったのだが、中流から河口部までという描かれ方をしている。

 メインとなるのはソ連邦崩壊にともなって新しく生まれた問題と明らかになった問題だ。その二つを混同してしまうとまるで昔の方がよかったように感じてしまうかもしれないけれど、それはそれで単純な視点といえる。ただ、完全否定されて忘れ去られていくのもよろしくない感じはするのだが……政変が起こるとコロコロ町の名前を変えるロシア人の性質はなんとかならないものか。

 犯罪都市になってしまったカザンでは退廃した若者たちの姿が描かれる。本人は尊敬できる警察官のナイル氏は昔は規律のある集団生活を叩き込んでいたと懐かしむが、本当の問題は価値観が崩壊して右往左往する大人の姿を子供たちが見てしまったことだろう。日本でもそうだが、ただ昔の教育に戻せばよくなるとは思えない。むしろ腰の定まらない大人の姿はよけいに子供の軽蔑をかきたてる可能性すらある。
 本当に必要なのは確固とした世界観を子供にみせてやることなのではないか。

 さらに下流ではアストラハンの天然ガスプラントに関わる環境汚染問題が紹介される。他にも22の原子炉が流域にあるというのだから、母なる川は危険な川にもなってしまっているだろう。
 ガスを貯蔵する空間をつくるために核爆弾を地下爆発させた話は稀有壮大というか、社会主義的大規模プロジェクトに呪われた馬鹿馬鹿しい愚挙に思われた。15回爆発させて13回失敗というのは全然ダメなんじゃないか?政府を止める力が民衆にないとこんな事が起こりえるから恐ろしい。

 暗澹となる話も多かったが、それが世界に紹介されている事実をもって希望としたい。

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母なる川 ヴォルガ
母なる川 ヴォルガ
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