攻撃衛星エル・ファラド上 谷甲州
2007.11.24 Saturday | by sanasen
ハスミ・コーポレーションの恐るべき発展ぶりに感慨深くさせられるものがある宇宙開拓史SF。月面を部隊にした地上部隊の戦いが描かれるのが非常に興味深い。真空で使用可能な銃の仕様などいろいろ想像力を刺激する設定が多かった。
エル・ファラドの裏で湾岸戦争で負けた「あの国」が糸を引いているシナリオは今でも有効なのだろうか。100年後の事ではあるしないとは言い切れない状態だ。この時代設定は現実的なものを感じさせつつ大きく動かせる部分もある絶妙の位置にあるな。
危機管理ものとしても、いつものごとく素晴らしい対応と判断がみられる。一時期の宇宙は武力的な空白地帯となり、劣勢な勢力でも局地的な優位を確保できる可能性があるのだろうか。今の時代の流れでは普通に軍事利用されてしまいそうだなぁ。
敵が過激になれば警察側もどんどん組織化されていって強力になっていくわけで、こうして宇宙もだんだん争覇の地になっていくのだろう。人が居住し、利害が絡めばそれは必然的なことであり、いつまでも星に願いを掛け続けるだけでは済んでくれないのだった。
エレナ・ジョンソンの活動は充分に過激なのにもかかわらず、他の谷甲州キャラクター、特に蓮美大佐と比較してしまうため、大人しくすら感じられてしまう。敵の包囲を読み取って待ち伏せ攻撃したところなど警官にしておくのさえ惜しい判断能力だったんだけどなぁ。彼女ならタナトス戦闘団でもやっていけるに違いない……。
物語の展開はけっきょく湾岸戦争を雛形に考えることもできそうだ。入念な準備と局地的な優勢を利用して勢力を拡張しようとする勢力の戦いを描くのが好きだなぁ。
谷甲州作品感想記事一覧
攻撃衛星エル・ファラド〈上〉
谷 甲州
エル・ファラドの裏で湾岸戦争で負けた「あの国」が糸を引いているシナリオは今でも有効なのだろうか。100年後の事ではあるしないとは言い切れない状態だ。この時代設定は現実的なものを感じさせつつ大きく動かせる部分もある絶妙の位置にあるな。
危機管理ものとしても、いつものごとく素晴らしい対応と判断がみられる。一時期の宇宙は武力的な空白地帯となり、劣勢な勢力でも局地的な優位を確保できる可能性があるのだろうか。今の時代の流れでは普通に軍事利用されてしまいそうだなぁ。
敵が過激になれば警察側もどんどん組織化されていって強力になっていくわけで、こうして宇宙もだんだん争覇の地になっていくのだろう。人が居住し、利害が絡めばそれは必然的なことであり、いつまでも星に願いを掛け続けるだけでは済んでくれないのだった。
エレナ・ジョンソンの活動は充分に過激なのにもかかわらず、他の谷甲州キャラクター、特に蓮美大佐と比較してしまうため、大人しくすら感じられてしまう。敵の包囲を読み取って待ち伏せ攻撃したところなど警官にしておくのさえ惜しい判断能力だったんだけどなぁ。彼女ならタナトス戦闘団でもやっていけるに違いない……。
物語の展開はけっきょく湾岸戦争を雛形に考えることもできそうだ。入念な準備と局地的な優勢を利用して勢力を拡張しようとする勢力の戦いを描くのが好きだなぁ。
谷甲州作品感想記事一覧
攻撃衛星エル・ファラド〈上〉
谷 甲州