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海の波を見る 光易恒

 幼い日の私は何故か波がアメリカから反響してずうっと海を渡ってくるものだと思っていた。海の向こうにアメリカがあるって話よりも、よほどアメリカが近くに感じられたものだ。いま考えれば、たとえ永遠に反響を繰り返しているとしても、その起源を説明できるわけではないのだが……。

 本書では海洋学者として50年研究してきた著者が撮りためた波の写真とともに、波の発生から消滅までを描写している。ちょっとした風の細波から船乗りに恐れられる三角波まで、波の変遷を読んで見て楽しむことができた。
 波が素直に成長するのではなく、風のエネルギーを受けるほど混在している中で波長の大きなものが目立ってくると分かったのは新鮮だった。もっと単純に考えていたが波の性質は複雑な波長の共存を許すわけだ。

 しかし、こんな優雅な自然現象ですら研究が推進されたきっかけは第二次世界大戦の上陸作戦にそなえるためだったとは……まったく人類は因果な動物である。
 まぁ、地震波探査や古地磁気調査も冷戦期の軍事的緊張が可能にしたことを考えると、大量の予算を必要とする前例のない研究は軍事にリンクさせないと実行が難しいのだろうな。

海の波を見る―誕生から消滅まで (岩波科学ライブラリー 130)
光易 恒
カテゴリ:科学全般 | 12:06 | comments(0) | trackbacks(0)

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