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宇宙 未知への大紀行2 宇宙人類の誕生

 火星への旅行と生命探査、そこから開ける火星テラフォーミングの可能性に夢が広がる楽しい本。
 カラーやCGがふんだんに使われておりイメージを存分に刺激する。また、最先端を走る科学者からのインタビューは噛み砕いて楽しい部分だけを取り扱っており実に魅力的だ。おまけ的要素として火星への意識の変遷をうかがわせる創作物の紹介なんかも行われている。

 しかし、人口問題を解決するために火星に移民するのだというお題目はやっぱり強引に過ぎると思う。それだけの人数を移民させる資金を費やせばもっと多くの人を救える可能性は高いし、あるいはそれが可能になるコストダウンが成功すれば――例えば軌道エレベーターの建設など――やはり宇宙のエネルギーを利用できるレベルになっているはずで、わざわざ他の星に移住する必要がないのでは?
 だから、せいぜい一度に滅びる可能性を低下させる方策としてのみ、生存圏としての火星を考えるべきだと思うのだが、それも今度は価値観の異なる「火星人」を作り出すことで惑星間戦争のリスクを高める可能性があるとなると本当に人類の生存に有利なのか核心がもてないのだった。
 そもそも「人類」の定義が変わってしまうかもしれないんだからなぁ。

 的川氏やショートショートSFも似たような事を述べているけど、これまでの生物の移住というのは破れかぶれ半分で「しかたなく」敗者によって行われてきた面が強い。海の生存競争に負けたものが上陸し、面積を減らす森林から追い出されたものが二足歩行し、フン族に圧迫された連中がヨーロッパを作り、結果的には勝者となり次には敗者となる素地をつくっている。
 そう考えると今の圧倒的なエリートたちによる宇宙開発は何かが違うのではないかと思わざるをえない。もっと切迫した危機感をもった敗者によって行われない限り、本当の火星移民が成功する事はないのではないか。しかし、火星に到達するためには高度に先進的な技術力がいる。
 そのジレンマがこなれていくほどに宇宙開発技術が平坦化していくことを望んでみるが、地球が持たなくなって60億総敗者時代がくるのが先かなぁ。

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NHKスペシャル宇宙 未知への大紀行〈2〉宇宙人類の誕生 (NHKスペシャル)
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