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新・大日本帝国の興亡1 三木原慧一

 「ぼくのせんかん」より「ぼくのくに」のほうが一層重篤な病状ではありますな……病こそが最大の商売道具なのだとしたらクリエイターとはなんと業の深い生き物かと思う。
 まぁ、著者の内面はともあれ幕末期からの大規模な歴史改変をおこない20世紀を通じたアメリカと全世界の100年戦争を描く構想の作品が新・大日本帝国の興亡である。

 1巻の主人公は日本を飛び出して、新しい時代に不要とされた人々と国造りに挑んだ徳川慶喜が半分をつとめている。前半では20世紀のラストにおける近未来風戦闘が描かれているのだが、筆致が安定しているために世界を一連のものとしてみることができた。
 しかし、衛星の破壊しまくりは連鎖的なデブリの発生を誘発させかねないし、そこから核兵器関連衛星が壊れた場合の対応について判断を誤ると世界を滅ぼしかねない危惧を覚えた。中国があの実験をする前に書かれた作品だから、そっちのイメージはおざなりか。

 新生日本は板垣退助の暴走によって江戸が焼失してしまい苦難にあうのだが、その苦難が逆に好循環をうみだし、また徳川慶喜が不平士族を誘拐同然にさらって行ったことが無意味な内乱での国力浪費を妨げる結果を招いていた。
 この「柔らかい時期」の改変は非常に効果的で、日本海軍はひたすら通商路を守るために存在する恐ろしく健全な組織として成長を遂げている。いっぽうで慶喜ひきいる傭兵隊は人材不足から機械化を押し進めていたり、若年期の苦労がのちの発展をうながしている状況が興味深い。

新・大日本帝国の興亡〈1〉
三木原 慧一
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