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新・大日本帝国の興亡4 三木原慧一

 トラック諸島に接近するアメリカの大艦隊に向けて各個出撃した英独魅の艦隊が交える戦い。基本は米英のいささか奇妙な航空戦に主眼が置かれている。イギリスの航空機は片っ端から問題児なのだが、それでも運用の妙とご近所付き合いの力でなんとか形にしてしまうところがイギリス的だ。
 アルバコアやディファイアントは弁護の余地に乏しいが、フルマーはそれなりに悪くない機体にみえてきた。少なくともドーントレスとためを張るならば……初期のアメリカ海軍は護衛戦闘機を付けずに艦上爆撃機や攻撃機での編隊攻撃を行わせているから、こういう展開でうまくいくのもありか。一度、問題を認識してしまえば同盟国だらけである以上、対応策は立てやすい。イギリスの変態駄作機に出番がなくなるのは寂しいが機種統一は運命だろうな。そして各国の兵器をいいとこどりして使うことに慣れたミレニアムが中心的な役割をはたすはずだ。
 どちらも試行錯誤の段階にあり、技術的に有利な部分を可能な限り活かして戦おうとする姿勢がよかった。悪の帝国と化そうとも合衆国には人がいる。

 ミレニアム公国で貴族士官が活躍している理由には人材不足に近い理由から、作品上の要請まであるのだろう。史実の存在と違ってオリジナル国家のキャラクターに連続性を与えにくい以上、創設期の歴史人物から継がせるのはやむをえない手段だ。
 日本では明治維新から戦後のあれこれがあって貴族がうまく根付くことはなかったけれど、この作品をみていると今の日本の混迷を予防するのにまともな貴族の存在は有効だと感じた。
 空しい過程ではあるけれど、貴族をもたないようでいて一流大学のアレコレがあったりするアメリカなどと見比べて得られるものもあろう。三木原先生は架空戦記をかなり現実の鏡として使うタイプである。

新・大日本帝国の興亡〈4〉
三木原 慧一
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:15 | comments(0) | trackbacks(0)

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