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新・大日本帝国の興亡5 三木原慧一

 ついに始まる戦艦同士の殴り合い!最終的には無粋な航空攻撃で決着が付くとはいえ、いろいろな意味で浪漫にあふれた戦いが展開されたといえよう。ビスマルク級が46センチ砲戦艦と真正面からやりあうのはやっぱり無茶だった……という当然の結論に至っているのも困ったものだ。政治的理由で軍事的な無茶が横行するのは何も黒いアメリカ合衆国だけではなかったわけだ。
 しかし、クラウゼヴィッツがどうこう言われていたけれど、彼は軍事を政治に完全従属するものとして置いていたっけ?軍事が失敗すれば政治も失敗するのだから、単なる無茶の押し付けはクラウゼヴィッツ的にも間違っていると思うのだが。

 ともかく無数の醜態とその中で輝く誇り高い行動がみられたのは良かった。チリアクス提督の化けっぷりはギャグに近いものがあるけれど、ライニッケ大佐への依存もあって無理矢理精神の均衡を取り戻したのだろう。あのまま生還してもいろいろと問題が生じたに違いない――と思ったけど大部分は隠蔽できるから悪いことにはならないか?それこそ著者が糾弾する組織の悪しき体質なので、チリアクス提督が生還した場合の展開には興味がわいた。

 気が付けばイタリア軍や清国海軍も活躍している事実が連合軍の底力を感じさせた。これからの米軍は半ば逐次投入される各国の部隊が「いつ現れるかいつ現れるか」と警戒し続けながら戦わなければならないはずだ。これは精神的にきつく、積みあげた勝利も思わぬ伏兵の攻撃で瓦礫と化す恐れがある。圧倒的な国力を背景にしているといわれてもこの手の攻撃に耐えられる職業軍人を大量養成するのは困難だろうし、アメリカ軍では戦いたくないものだ。
 なんだかんだで読んでいるあいだ日本軍をいちばん応援してる自分がいた。現在の日本と対比されて組織の腐敗は目を覆うほどだけれど、だからこそ組織弱者への判官贔屓めいた感情が生まれるのかもしれない。その点で無敵設定のミレニアムは親しみが湧きにくかった。

クリムゾンバーニング1−5巻感想

新・大日本帝国の興亡〈5〉
三木原 慧一
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:59 | comments(0) | trackbacks(0)

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