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軌道傭兵2〜月航路漂流 谷甲州

 2巻のストーリーはくたびれても酷使され続ける宇宙基地ミールにNASAを退役し新たな人生をはじめたスペースシャトルのイントレピッドとハスミ大佐、そしてピカピカのフリーダム宇宙ステーションと次世代宇宙往還機のシュピーゲルという世代を縦断する機材の取り合わせで描かれる。
 ナマイキなクソ餓鬼であるダッドと早熟なインド娘のドゥルガまで絡んできて状況が混迷を極めること夥しい。反面、用意周到な営利テロリストの作戦が子供の悪戯によって覆されてしまっている事実にはニヤリとさせられてしまう。けっして大人たちが無能なわけではないのだが、不確定要素として行動できる子供たちが能力に溢れていたことが全てだろうか。侮れない才能の持ち主を選んでおいて侮るなんて矛盾しているが、大人の認識とはそんなものだ。

 テロリスト側は複数回の攻撃をこうじてくる。そのなかでも鮮烈な印象をあたえるのが機銃による狙撃だった。ほとんど大気のない宇宙空間においては射程は誘導の問題でしかない。そして包みこむように攻撃することで命中率の低さはある程度おぎなえる。まるでスペースデブリの厄介さに学んだかのような兵器だ。
 それに対抗する海部三佐の行動もきわだったものなのだけど、同じパイロットにハスミ大佐がいるせいか、いまいち印象が薄いのは残念だ――ヤンキー・クリッパーの抜けっぷりとは実に対照的。

 世界各国のシャトルが一堂に会する情景も、政治的ではなく実際的な目的を与えられた事でさらに精彩をもって感じられるようになった。宇宙サミットの発想はひじょうに興味深いのだが、現実の趨勢をみているととても5年以内にそんな事ができる状況にはなりそうもない……。
 小説より遥かにテロの脅威に晒されている現実に溜息が漏れそうだ。

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軌道傭兵(オービット・コマンド) (2)
谷 甲州
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