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軌道傭兵3〜シャトル救出作戦 谷甲州

 ダッドの子供らしい偏執的行動には苦々しさを覚えてしまう。それも最後はあっさりと打ち砕かれてちょっとは溜飲がさがるのだが、全ての罪をおしかぶされたテロリストこそ良い面の皮といえよう。もっとも、それだけのリスクを負って行動していたのだからあまり同情はできない。
 文句なしに可哀相なのはドイツの関係者たちだ。彼らこそ最大の被害者といえるだろうが、月まで行ったことでシュピーゲルの宣伝になったと考えればその後の営業でリカバーする余地はあるか。それを言いだすとHOPEを月に送った日本が最大の利益を享受したはずだけど……名声をきちんと利益に繋げられるかは不安だ。海部三佐のことで無意味な内ゲバをしている間にせっかくのチャンスを失うことがなければよいが。
 途中まで大人を手玉に取っていた子供たちに、最後は大人の現実的判断が勝利するバランス感覚に深く頷いてしまう。そこがロケットガール3〜私と月につきあってと異なる部分で発表媒体の差でもあるのだろう。もっとも子供を超える子供、ハスミ大佐の我が儘が勝利したとみれば全ては引っくり返ってしまう。それが無性に可笑しかった。
 無重力ながらずっこけできる内容だ。

 月への漂流が劇的になるのはアポロ13号の先例があることや、軌道の選択が多岐に渡ること、現場の人間にあるていど自律した判断が求められることなどの理由があるのだろう。案外、月の荒涼とした景色が冒険にふさわしい印象を与えるというイメージ的な問題も大きいのかもしれない。
 たとえ軌道上であっても地球の世界と月の世界はどこかが違う。それを実感できる描写が繰り返されていた。

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軌道傭兵(オービット・コマンド)〈3〉シャトル救出作戦 (C・NOVELS)
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