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SFアンソロジー 宇宙への帰還

星喰い鬼/横山信義
 人間を生態系の乗物と考える発想が興味深い。主体がどこにあるのかによっても変わってくるが、希望に満ちた解釈のひとつといえるかもしれない。
 GBは資材を蓄えきったら分裂したりするのだろうか?効率を考えればダイソン環を作れるようになった段階で分封するのが良さそうだ。気が付けば真っ暗な重力場でしか観測できない銀河が誕生するわけ……効率的に考えてそこまで増やせないかな?とことん行き詰ったらエネルギー=質量変換を始めかねない雰囲気がGBにはあるのは確か。
 さて人類は上手いこと居候させてもらえるのだろうか?彼らの今後を想像するのも楽しい作品だ。

ハウザーモンキー/吉岡平
 こちらは非常にハッタリの効いた楽しませてくれる作品。帆船時代の世界観を駆使しながらところどころにSF的用語を散りばめてニヤリとさせてくれる。オチも綺麗におさまったのはサムが自分のアドバイスどおり一国一城の主になってのけているからか。
 下士官世界の陰惨さをためらわずに描いているのも見逃せない…。アエネイアスが追撃を受ける理由が仮装巡洋艦バシリスク的だ。

A Boy Meets A Girl/森岡浩之
 タイトルの「A」に秘められた意味は限りなく重かった。それを最後に気付かせてくれる。本能の頚木から逃れる人造知的生物のテーマは星界の紋章シリーズと通じるものがある。
 ともかく様々な宇宙空間の現象を「少年」の感覚にいいかえた表現が見物だ。光を風扱いするくだりはかなり好き。

輝ける閉じた未来/早狩武志
 繊細で透明感のある描写が冴える作品。内容はサイバーパンク的なのに雰囲気はアンチサイバーパンクという不思議な持ち味がある。だからこそ突き付けられる現実は汚濁のない冷たさに満ちている……早々に凍る水は純粋だ。
 エセ科学が好まれる理由を主人公が求めていたが、今の世のなか科学が宗教のようなものだからそれを理解できない人間は神に見捨てられたような気分になるのだと思う。その不安感を払拭してやるのがエセ科学なのだ。頼むから普通の宗教を信じてくれよ、と思うんだけどね。歪んだ価値観をふりまいている責任は誰に?
 咲夜と書いてサキヤと読ませているのがちょっと意外。サキャ・パンディタに掛けているのかなぁ。

晴れた日はイーグルにのって/佐藤大輔
 短編の中で短編集をやっているワールドメーカー佐藤大輔の面目躍如といえる作品。
 おおむね、皇国の守護者レッドサンブラッククロス地球連邦の興亡征途に準拠した設定で描かれているが、レッドサンと征途以外はかなりの相違点が認められる。どのあたりまで本編に食い込んでくるのか予想がつかないのが困る。とりあえずドラグーンの政治状況は新城直衛以降の皇国が制海覇権を握った後の状況に近似できると思っているが想像の域をでるわけでもなし……バーニアの話はまぁ、完結したものとして楽しんだのが良く考えれば戦闘シーンもロクに描いていない設定の垂れ流しでよく娯楽になるものだ。
 むしろ設定をうまく垂れ流すことを狙った構成なのかもしれない。

繁殖/谷甲州
 星空の二人 谷甲州にて言及済み。ビバ!合法ロリ!!な作品である。アイリーンはそのまま、そのままで!

宇宙(そら)への帰還―SFアンソロジー (KSS ENTERTAINMENT NOVELS)
横山 信義,森岡 浩之,早狩 武志,佐藤 大輔,吉岡 平,谷 甲州
カテゴリ:SF | 12:08 | comments(0) | trackbacks(0)

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