<< 星の墓標 谷甲州 | main | 最後の戦闘航海 谷甲州 >>

タナトス戦闘団 谷甲州

 タフガイ、ヘロム・“ダンテ”・フェルナンデス中佐によるSF活劇。月の巨大都市「セントジョージ」市を舞台にした複雑で真綿で締めるように息詰まる諜報戦が描かれる。
 人口30万の月面都市を本当に機能している社会として実感をもって眺めることができた。やはりシャンティ氏の裏話が効いているからだろうか。彼のように上手く立ち回る人物はいつの時代にもいるものだ。タイタンを選ぶところまで情報判断の正確さには喝采さえ送ってやりたくなる……血を吸われるガリレアンにはいい迷惑だけど本人もリスクを負っているからなぁ。淡々と日常生活を送り続ける地球-月連合の一般市民にも無関心の残酷さはあるし。

 柏崎中佐の諜報活動が難航したのは結局カリスト単独で動き回らねばならなかったせいかもしれない。これがガニメデやタイタンの人員と積極的に連携を取って動ければもっと別の展開もあった気がするのだ。それぞれの政府に異なる方針がある点を考えれば非現実的だろうが……。
 かさねて若干反則気味ながらタナトス戦闘団が少ないスタッフで見事に諜報活動を成功させているのと比較してしまうと、柏崎中佐にも別のやりようがあったのではないかとも思ってしまう。とりあえずヴァレリア・ファイルな人々と連絡を取るのだ!
 まぁ、ミッチナー将軍が意図したのと正反対に話が展開したのは痛快ではあった。自軍の上層部に目を付けられながら、ことごとく裏をかき戦果をあげていく特殊部隊の姿は単純にエキサイティングなものだ。本来の作戦目的が「風船爆弾」レベルに設定されていたなら尚更。

 それにしても仮想巡洋艦バシリスクに便乗する面々の豪華なこと!ちょっとしたオールスターに感じられるし、彼らが乗っていたと考えると「水星遊撃隊」への見方も一味変わってくる。実に楽しい想像が巡らせる。

谷甲州作品感想記事一覧

タナトス戦闘団―航空宇宙軍史
谷 甲州
カテゴリ:SF | 12:18 | comments(0) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

カテゴリ:- | 12:18 | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sanasen.jugem.jp/trackback/670
トラックバック