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最後の戦闘航海 谷甲州

 外惑星動乱終結から3ヶ月、ガニメデ宇宙軍に所属していた掃海艇CCR−42は航空宇宙軍のロックウッド少佐の要望で外衛星にあるヒマリアの基地を目指すのだが……ホラータッチで描かれるゾッとするものに満ちたSFであり、航空宇宙軍史の諸作品がそれぞれに異なった印象をもっていることに気付かされる。それぞれがちょうどアシモフのSFミステリのようなまとまった全体的印象をもっているのだ。実に器用で飽きさせないやりかたといえる――刊行間隔がゆっくりしている問題はあるけど。

 まったくガニメデ宇宙軍のやったことは弁護の余地がない蛮行であるといわざるをえない。追い詰められた国家にありがちなこととはいえ、いったい彼らはどこで一線を超えてしまうのか、ツボウ提督の言動をふくめて考えさせられた。これまたありがちなことに実際の役には立っていないのも悩ましい。本当に実戦投入されて活躍したいた場合を考えるとさらに悪夢なのだが、ガニメデ軍は本気でそれを使うつもりでいたのかなぁ。
 どうみても正気の沙汰ではない。あぁ、それは航空宇宙軍に戦いを挑んだときから分かり切っていたことか……。ムルキラに拾われるような狂気の中に正気をたもった連中に比べれば、やはりガニメデ軍の上層部は脆弱な心の持ち主だったといわざるをえない。
 現実にはそういう人間のほうが当然多いのだが。

 機雷封鎖で干上がった木星系の描写が効果的に感じられたのは、やはり宇宙という環境の苛酷さが強烈だからだ。空気も光も水も自然に得られない状況でのサバイバルは難易度が高すぎる。
 そして過剰なまでに力を合わせなければ生きていけない社会の形は、やはりある種の残酷さをもたらすように感じられた。宇宙といえども夢のある話ばかりではないなぁ。

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