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NHKスペシャル文明の道1〜アレクサンドロスの時代

 アレクサンドロスに時代って言葉は似合わない気がする。短命な彼は時代の節目にはなれても、時代にはなれなかった印象があるからだ。ペルシャ帝国とヘレニズム王国のバッファーゾーンとなった「時代」とみることはできるかもしれない。はっきりとした「アレクサンドロスの時代」と呼べるものがあれば、また歴史は大きく変わっていただろうなぁ。

 アレクサンドロス大王の遠征が非常に簡明にまとめられている本だが、逆にいえば帯に短し襷に長しのきらいもあった。アレクサンドロスの戦争について学びたければ、断然監修者である森谷氏のアレクサンドロス大王「世界征服者」の虚像と実像を読んだほうが得るものは多い。ヒュダスペス川の戦いにはあまり触れていないので、そこは会戦事典 古代ギリシア人の戦争などでフォロー。
 本筋よりむしろカナートや馬の利用史などの派生した話題がおもしろかった。とくにカナートはペルシア帝国の統治方法に関連している点も興味深い。

 全体的にみて単純にアレクサンドロスの偉大さを褒めるよりも、彼が評価していたペルシアの統治システムの良く出来た部分を重視する内容になっている。思うにダレイオス三世はこの平等と名誉をすべての被支配民族にあたえなければならないペルシア帝国の国是から、アレクサンドロスとの戦いに頼りにならない民族まで動員する破目になった気もするのだが……。カルケダスなど集めて兵を精鋭部隊に絞れず、鈍重になってしまったことが戦いでの主導権をアレクサンドロスに譲り渡す結果に繋がったのだとしたら、ペルシアの美点は敗因に直結している。
 なんとも皮肉なもので、それを良いとこどりしようとしたアレクサンドロスの苦労もしのばれるものだ。

アレクサンドロスの時代(第1巻)―文明の道   NHKスペシャル
アレクサンドロスの時代(第1巻)―文明の道 NHKスペシャル
NHK「文明の道」プロジェクト,森谷 公俊
カテゴリ:歴史 | 12:26 | comments(0) | trackbacks(0)

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