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ヴァレリア・ファイル下 谷甲州

 ハンティング・ファルコンかわいいよハンティング・ファルコン。

 自らの死を前提として行動を規定する思考回路やマシンのくせに意外と間の抜けているところなど萌えどころの多い機体だった。けっきょく、彼がジョーズやヴァレリアに敗北した理由は経験不足にあるように思う。もちろんヴァレリア・ファイルによる演習は無数に繰り広げてきたのだろうが、人間にはあるひとつの経験から推論能力によってより多くの経験値をえる能力が、プログラムにすぎないH・Fには足りなかったのではないか。その点ではやっぱりヴァルキリーシステムのほうが優れていると思った。
 まぁ、敵が敵と言ってしまえばそれまでだ。


 下巻は月面での活動がほとんどになって実にSFらしさが増していた。まったく閉鎖的な世界であると同時に、通信網によって全世界と繋がっている感覚がいい。おかげでローカルな舞台でありながら壮大な世界観・未来観を感じることができた。
 すぐ近くにいるのに顔をあわせることもなく自分の作業に没頭しているMKとレティの態度もなんだかサイバーである。回線を通じているときのほうが顔つき合わせているときより当たりが激しいのだからMKも学習しなよ……これもネット上での付き合いの難しさを読んだ先進性のひとつかもしれない。
 ジョーズとMKがなかなか名コンビに育っていくのも楽しかった。というより他の濃い登場人物と曲がりなりにも組めるのはMKくらいしか居ないか――そのMKすらKW(たぶん女性だといいなぁ)と比べてみるとやっぱり過激なキャラだと感じるのだった。

 最後に収束するストーリーはそれぞれが諦めずに万策を尽くしていたら偶然はまってしまった感じであり、こんなんで勝っていいのかと思わんでもない。せっかくの通信網があっても精緻な連絡がとれるとは限らないなら最後はシンクロシニティに期待するしかないのかねぇ。
 どう転んでも川崎所長の破綻は目に見えていた気もする。そもそもあんな破綻を起こすような強引な人物でなければヴァレリア・ファイルなんて代物をこの世に生み出さなかったであろう。はっきりいって最後にもっとも道化だったのは彼だ。

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ヴァレリア・ファイル〈下〉 (C・NOVELSファンタジア)
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谷 甲州
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