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日本の戦時下ジョーク集〜太平洋戦争編 早坂隆

 戦争中で民衆生活が圧迫されようとも笑いの火がすべて消されてしまうことはありえない。笑いこそは人間的活動の本質のひとつなのではないかと考えさせられる、戦時中に流行した漫才やジョークを集めて収録した文庫。
 この本を書くにあたっての取材を不謹慎と言った人物がいたそうだが、戦争そのものを笑っているのではなく戦争中の笑いを集めているのに、どこが不謹慎なのか分からない。そういう人は理念をよく理解できなかったのか――したくなかったのか、戦争に対して一方的な価値観をもってしまっているのではないか。それこそ危険は道筋だと思うんだけどなぁ。

 ジョークは時局の変遷にともなって紹介されているため、太平洋戦争全体を通した概要の勉強にもなる。戦局が市民生活にあたえる影響が、ジョークの形で息づいたものとして感じられる。
 イラクでのクーデター騒動など初耳に近いものもあったが、当時を生きていた人にはリアルタイムの時事だったのだと感じられて興味深かった。

 ネタの内容そのものに関しては、けっこう面白さが弱いと感じるものも目立った。いろいろな制約もあったかもしれないが、それ以上に時代的な感性の違いが裏にある気がする。とはいえ笑えるものは笑えて、楽貫世文の「太平洋相撲戦」などはノリもよくて大変楽しい。イタリア機と対戦したカーチスが故障負けなのは当時の日本人もイタリアがヘタリアであることを薄々把握していた結果かもしれない……。
 他にも甥に教訓をたれて自滅するおじさんの話や、兵の検査でおもしろい結論をくだす軍医の話などが楽しかった。

日本の戦時下ジョーク集 太平洋戦争篇 (中公新書ラクレ 250)
日本の戦時下ジョーク集 太平洋戦争篇 (中公新書ラクレ 250)
早坂 隆
カテゴリ:歴史 | 06:50 | comments(4) | trackbacks(0)

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コメント
 私はこちらの「満州事変・日中戦争 篇」のほうを読みました。今でもなかなか笑える作品が多いですが(あえてそういうのを選んできたのかも)、ということは戦前も笑いのツボってそう変わらないのかなと感じますね。
| 恐竜戦隊 | 2008/06/23 5:03 AM |
 パピルスに書かれた「まったく最近の若い者は…」も笑えますからね(意味が違うか)。
 鮮やかな論理性は不朽の笑いをもたらしてくれる気がします。おっしゃられている通り「あえてそういうのを選んできた」可能性もありますが、あれだけの量のネタが集まるということはやはりどこでもいつでも通用する笑いの理も存在するのでしょう。
| こいん | 2008/06/24 9:38 PM |
 「太平洋戦争篇」のほうも読みました。「満州事変・日中戦争 篇」のときと比べて戦局が影響してますます戦争ネタが増えていってるみたいですね。この本はその時代のことを勉強できるという意味ではいいのですが、めんどくさくて読み飛ばしてしまうということもありますね。
| 恐竜戦隊 | 2008/07/12 9:37 PM |
 確かに時代背景の解説はわずらわしくて、どんどんジョークを読み進めたくなる気持ちもわかります。背景を分かった方が楽しめるのですが、読む人にそれを強制できるわけもないので、難しいところですね。
 せめてジョークだけからでも、こういう時代があったことを多くの人に知ってもらいたいと思います。
| こいん | 2008/07/13 8:25 PM |
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