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春山行夫の博物誌検訴石1

 ダイアモンド、ルビー、サファイア、エメラルド他じゃっかんの宝石について物性と宝石的な価値、そして民俗的な言い伝えについて取りまとめた本。20年前の刊行なので産地の状況など変わっている部分が多くて興味深い。
 当時すでにダイアモンド主産地は南アフリカでなくなっていたようだが、同時に宝石質の95%は南アフリカ産だと著者は述べている。現在猛威をふるっているロシア産は大規模な産地の情報が鉄のカーテン越しに入ってきている状態だった。今から20年後をみれば似たような展開があるのかもしれないなぁ。

 また有名な宝石の経緯についても詳しく語っており、インドやヨーロッパの王族と宝石の関連性の深さをうかがわせた。エキセルシオルの名前は初耳だったが、あまりに大きすぎて捌けず分割して売られていったと述べられているのをみて悲しく納得した。
 もっと悲しいのは盗難にあった大型の宝石が処理のために分割されて売り払われてしまうことだ……足がつく可能性を恐れれば当然の行為かもしれないが、極めて希少なものをそうやって傷つけることも盗難と同じく許しがたい。

 古代から中世の西洋文献を紐解いて紹介される民俗学的な情報は、プリニウスより中世のほうが遥かに俗信が酷くなっている点でも興味深い。そして、現在流布しているパワーストーンの話もマルボドゥスの宝石誌の内容と大差ない気がしてしまって恥ずかしい気持ちが募るのだった……いったい人類は何をやってきたのやら。

 個人的には紹介されている宝石の中にヒスイを加えてほしかったのだが、文献が西洋に偏っているのをみるとひとつだけ東洋側に外れたヒスイは手が出しにくかったのだろう。

宝石〈1〉 (春山行夫の博物誌)
宝石〈1〉 (春山行夫の博物誌)
春山 行夫
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