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内部告発が社会を変える 桐山桂一

 内部告発問題をとりあつかい、実名でそれを行った人物を保護するための公益通報者保護法の問題点について指摘しているブックレット。自浄に内部告発を必要とするほど日本の社会病理が進行してきたのか、企業と従業員の利益が大きくズレはじめたのか、気になるところだ。
 法律そのものが時々刻々と変化している印象のある現代においては「正義」も人々の中でズレがしょうじたりして摩擦が大きいのかもしれない。まぁ、内部告発なんて最後の手段に走らざるをえない事件はあからさまに組織側が悪い例が多いんだけど……。

 同業他社がすべて違法行為を行っている状態では自社内の正義を貫こうにも価格競争で苦しかったりしかねない。その点では談合事件での課徴金の減免制度みたいなものがあると正義が行いやすいのだが――他社の足を引っ張っていると誹謗中傷されないか不安になるよね。
 けっきょく今の社会では「悪いことしていないのがいちばん不利」な状況になりつつあるのかもしれない。それはどう考えても間違っていることなので、正しいことを行うのに異常な勇気がいる現状自体に激しい怒りを覚える。

 過去に実名で内部告発を行った人たちがその後どうなっていったかの例が紹介されているのだが、想像するだけでも苦痛を覚えるものがある。
 日がな一日、本を読んでいるのはある意味では夢のようにも聞こえるけれど、職場で周囲の人間が労働して給料もらっている時間に生産的な活動が一切行えないこと自体が義憤に駆られて行動するような人には心理的苦痛をもたらすだろう。そこまで分かってやっているのだとしたら組織の残酷さには呆れてしまう。
 まったく集団という奴はときとして残酷だ。

内部告発が社会を変える (岩波ブックレット NO. 720)
桐山 桂一
カテゴリ:雑学 | 20:49 | comments(0) | trackbacks(0)

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