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火星地球化計画 竹内薫

 火星探査の歴史からはじまって、テラフォーミングの起源、そして現在の展望を概観する科学啓蒙本。内容が多岐にわたるために、それぞれが浅くなっている傾向があり、タイトルから期待された極端にテラフォーミングに特化した内容にはなっていなかった。
 数式を使うことをひたすら避けている関係もあるのだろうが、もっと独自色を押し出してほしかったところだ。

 まぁ、X番台の実験機について詳しく語っていたり、バイオスフィア2のさびしい現状について語っていたりと、変なところで詳しいことはあるのだけど。

 ざらっと解説されている4種類のテラフォーミングでは、どれも窒素の確保が問題視されているようだ。太陽大気からアルゴンをさらってきて太陽帆船で火星まで運べないかなぁ、とアホなことを考えてみる。
 クリス・マッケイをドンとする修復テラフォーミングはともかく時間が掛かりすぎている。地球温暖化などへの対抗策とするには無理があり、それだけの長い年月方針を変えられずにいるものかは怪しい。生物学的手法といってもけっきょく地球の生物をベースに使う点では「汚染」であることに変わりないしなぁ…。
 バーチの急速テラフォーミングはともかく強引すぎる。これだけの蛮行を繰り広げてしまうと「揺り戻し」で壊滅的な現象が発生しないか心配になってしかたがない。それこそ住んだ人間が微調整していけばいいことで、その必要性も生きるために生まれ続ける点は修復テラフォーミングより資金を集められそうではあるが……環境問題を起こしている惑星をひとつからふたつに増やすだけにならないか。
 フォッグの統合的なシナリオがもっとも堅実にみえるものの、このような複合的な計画を行うには全体的な状況を見極めて統括指揮する組織が絶対必要とされるであろう。現在の適任はアメリカということになってしまう感じだが、どうもそのあたりに不安が残る。逆に「火星開発局」がまったく新しい未来の組織のモデルとなるかもしれないものの……ストリンガーの沈黙のAADDはその辺り上手くやっている。
 個人的にいちばんしっくりくるのはパラテラフォーミングの発想かもしれない。小さなところから十分に機能をはじめて、最終的にはグローバルな効果を生み出せるところが良い。ただ、この方法を地球に応用しなければならない状況に陥ったら絶望的なものがあるな…。

火星地球化計画―火星探査とテラフォーミングの真実
火星地球化計画―火星探査とテラフォーミングの真実
竹内 薫
カテゴリ:天文 | 11:27 | comments(0) | trackbacks(0)

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