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超弩級空母大和2〜キャリア・ストライク 奥田誠治・三木原慧一

 やはりこの世界の日本は単独で未来に進んでいるとしか思えない。零戦改の反則的な無敵伝説は零戦そのものさえ決して優秀な機体とはいいきれない、といろいろ読んで考えるに至った私には違和感の多い状態だった。この立場が後半には逆転することを思えば皮肉でもあるのだが。
 胆となっている空母大和の巨大化については、単に巨大化させましたではなく設計思想や技術力と絡めて論じているところがよい。おかげで大和はこの世界の特殊性を強烈に反映され、また世界の一部として多大な影響を及ぼす存在感を示している。タイトルになるにふさわしい主人公ぶりと言える。

 太平洋戦争の第二段階として生起したフィリピン沖海戦はアメリカの早期決戦姿勢に後押しをうけて、いきなり起こるにはあまりにも激しすぎる互いの総力を投入した大規模空母戦になっている。艦隊運用のデータも彼我の機体の優劣もまともに評価できていないのに、ここまで大きなものを賭けるのは博打にしかみえない。
 よくもこんな怖い真似が出来るものだと妙に感心してしまった。まぁ、戦争とはギャンブル性の高い行為だとはいえ……。

 戦闘の結果は内容に比べればずいぶん順当なもので、ラングレーと蒼龍が刺し違えての撃沈は「病気」の影響としていたしかないにしても、日本側には他にも大破した空母が二隻生じていることに驚いた。あれだけの規模の攻撃が炸裂してしまえば当然か。
 大和を囮にしたり、搭乗員や乗組員の消耗が問題視されているのをみると、あえて乗員数が多くて守りの浅い重巡洋艦辺りを潰してまわったほうが人的損害を大きくして後々の消耗を狙えるのでは?という鬼畜なことを考えてみた。
 やっぱり主力兵器のプラットフォーム能力と、その運用ノウハウをもった人間は価値が違うか……。

 アメリカの戦艦部隊が一発の砲弾も放たずに撤退したのは、ミッドウェー海戦のオマージュだろう。能力を存分に発揮できる環境をつくることができなくなった時点で、主力兵器はその地位を失う。たとえ変わらず戦場で最強の存在だったとしても、それに変わりはあるまい。

超弩級空母大和〈2〉 (歴史群像新書)
奥田 誠治,三木原 慧一
カテゴリ:架空戦記小説 | 19:20 | comments(0) | trackbacks(0)

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