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超弩級空母大和8巻〜GENERATIONS 三木原慧一

 日米の死力を尽くした大海戦。次々と状況が混沌に巻き込まれていき、無数の悲劇が横行したうえに、悲劇が日本の悲劇を救うという喜劇的悲劇が積み上げられている……それだけ必死にならざるをえないのだ。とてもプライドをもちだしてうんぬんできる雰囲気ではない。

 この苦境をもたらしている根本的原因がF8Fベアキャットの凶悪な性能にあるのが何ともいえない。戦闘機が勝てなければ戦争に勝てないと風が吹けば桶屋がもうかる風に論じた話があったけれども、宗方たちの苦境をみると圧倒的に納得できる。
 で、ありながら「情報」の力は性能差をくつがえすこともありえると、まず米軍に証明させているのがグー。圧倒的性能に反映されているのはもちろん基礎工業力をはじめとする国力なのだから、戦闘機が強いというのも簡単なことではないのだろう。

 EOPと呼ばれる終戦への作戦と工作については宗方をド外道あつかいするほうが違和感があって、最終的に提示された結論にはじめから納得がいってしまっている。おそらくこの温度差は私が当事者でないことにあるのだろう。
 たしかに肉親が戦争で死ぬことはまだ覚悟できても「あえて最大限生き残る努力を許されずに」死んだことは納得しがたいものがあるはず。ほとんど「殺された」と感じる遺族がいても不思議ではなかった。
 それでもやっぱり、これだけの狂気に走らせた原因――隔絶した彼我の国力差がわかってしまっていると、狂気の海に呑み込まれながら勝利もえられなかった史実より、超弩級空母大和世界のほうが何倍も素晴らしいものに思えてしまう。リアルタイムで読んでいたころは非道な手段とは「特攻」そのものだと予想していたのが懐かしい。

 フィリピン沖海戦のときに見られたあえて敵に発見されることで防空力をイーブンにもっていく戦術といい、目的を完遂するためにかなり捻くれた道をみつけてみせる主人公だった。そして、この世界の日本はよくその博打に全力で応えてくれたものだ。
 確かに全てを投げ打ったハワイ侵攻にしか生き延びる手段はなかったのだけど、それが分かっていても身投げをできないのが人情だから。

超弩級空母大和〈8〉 (歴史群像新書)
奥田 誠治,三木原 慧一

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カテゴリ:架空戦記小説 | 19:22 | comments(0) | trackbacks(0)

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