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クリムゾンバーニング合衆国解放3 三木原慧一

 読了。しかし…いつまでも熱い痺れがとれないだろう?クリムゾンだけに。
 超展開の連続で徹底的な大規模戦闘と個人的な行動を見事に結びつけたプロットには悔しいっ!が大変興奮させられた。感動もあったかもしれない――少なくとも感慨は深い。
 最後にはスターリンがずいぶん美味しいところをもっていって本当に更迭鋼鉄の人ではなく星の人みたいである。超弩級空母大和で大盤振る舞いした片道出撃解決法の変形とみるのは無茶すぎるか。クリムゾンバーニング歴史的著名人たちを物語のなかで魅力的なキャラクターとして演出するテクニックが本当に見事だった。亡命○○人の名のもとにオールスターチームをつくりあげた赤化合衆国の魔力にカンパイである。いくらなんでもケマル・パシャはやりすぎだと思ったけれど、まぁこの作品なら許せる。PSX3で会社が潰れるのもベリアがドクターワイリーしているのもなにもかも。

 辻政信や源田実など後世の毀誉褒貶の激しい人物も、その特性を活かした上で昇華してやっているから非常に好感がもてた。南雲忠一と坂井三郎の扱いがいいのは意地でもカタカナ語を使わないことと同じく三木原氏の趣味なのかなぁ。表立っては発言していないが「サムライ」が好きなのかもしれない。あぁ、リディア・リトヴァクたんへの熱いこだわりも感じるが。
 特に坂井三郎の持ち上げられ方は異常で、某「全体主義はミノフスキー」SFアニメの主人公をやけにトレースしていたのが凄かった。オチ(二重の意味で)もある意味壮絶で笑えた…石投げちゃる!まぁ、白い奴も赤い奴も大好きになっていたので安堵の気持ちもあったけれど。
 ふりかえればいかにも死にそうだった男たちがずいぶん生き残ったものだ。危機一髪のところで援護射撃が入る展開が連続したのには少々辟易したものの嬉しくないといったら嘘になる。

 最後になってみれば、クリムゾンバーニングの大きなテーマは「父と息子」にあったと感じられた。アメリカも同志と呼びかけ合うレーニンの共産主義国家も父性的な息吹がつよく、それだけに父と息子の関連性がきわだって描かれていた。
 敷衍すれば資本主義と社会主義の関係も「父と息子」みたいなところがあるのだろう。それゆえに歴史的な衝突は必然で悲しいものであったけれど、ただ忌まわしいものとして封印するのも惜しい。

 息子を失った父はそのことを決して忘れず歩むであろう。次の息子が現れ、彼を打ち倒すまで……バカバカしさ一杯だったのに終わってみればずいぶん社会主義について考えさせられた作品だった。

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合衆国解放 3―クリムゾンバーニング (3) (C・Novels 83-11)
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三木原 慧一
カテゴリ:架空戦記小説 | 00:48 | comments(0) | trackbacks(0)

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