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美しい石のサイエンス 鉱物図鑑 青木正博

「はじめに」で断わりをいれられていたスタンスそのままで、それを超えることがなかったのが残念でならない鉱物図鑑。
 産総研地質標本所で実際にみることができる標本を使っているのもプラスなのかマイナスなのか測りかねるところがあった。この本で予習をしておけば注目すべきポイントがわかり、解説に時間をとられることなく実物の観察に集中できるかもしれないが――遠隔地に住んでいる人間はまた感覚が変わってくるなぁ。

 なによりも困ったのは「産地名」が写真と一緒に表示されていなくて最後の索引でまとめられていたことだ。個人的に鉱物図鑑を読む愉しみには「写真から産状を覚えて肉眼鑑定力を高めること」があったので、産地名のありかに気付くまでは途方にくれてしまった。
 まぁ、すぐに確認できないことを逆用してクイズ形式に楽しむ方法もあるが……画面を広く使いたい意図は理解できるけどあまり親切なやりかたではなかったと思う。

 このように引っ掛かりの多い本書だが、版が大きくて(おかげで値段も高くて)大きな写真を楽しんだり、いちどに多くの標本を眺めることができるのは良かった。まさしく、ひとつの博物館的な楽しみかたで漫然とめくり、気に付いたところを注視する読みかたが向くのではないか。
 それにしても結晶でもなく冴えない灰重石の蛍光画像に2ページを贅沢に使っているのは理解しかねるところがあった。どうせそれをやるならフランクリン鉱山産のカラフルな石をつかえばいいのになぁ。

 あと掲載されている鉱物が無難なもの揃いにみえて、地味にマニアックなものが混じっているのは少しおもしろかった。ロディサイトやヘルデル石、銅スクロドフスカ石がほしくなったよ。そういえば裏表紙もボレオ石という独特のチョイスをしていた。
 文章もタイトルにはあるにも拘らず「美しい」の単語がほとんどみられない極力主観を排したお堅いものだったから、レベルの高い標本写真頼りだったのは否めない。

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鉱物図鑑―美しい石のサイエンス
鉱物図鑑―美しい石のサイエンス
青木 正博
カテゴリ:地学 | 19:28 | comments(0) | trackbacks(0)

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