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鋼鉄の紋章〜赤い帝国 三木原慧一

 グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国の赤化!という頭痛のコンセプトに巡洋戦艦空母蒼龍の頭痛が二重がけされる戦記シミュレーション作品。まぁ、ヨーロッパの国々がいろいろな色に塗りたくられて塗りつぶされるのは、この手の作品がもっていた必然といえるかもしれない。
 イタリアに共産主義とかは流石に似合いそうもないが……そういえば日本で天皇制が配されている設定の奴はあったかな?できるだけ現実に近い日本が勝たなければカタルシスがなく――史実に近い日本が勝てるわけもないという二律背反が架空戦記小説にバリエーションを生んできたのだろうなぁ。

 そんなバリエーションの一変形として、この作品はかなり直接的な形での組織改変を迫っている。一言であらわせば作者による人材の大量暗殺とでもいおうか……空母大和でも奇襲爆撃で暗号解読の頭脳を潰したりしていたあたり、作者のくせのひとつなのかもしれない。
 他にあるくせとしては共産主義と源田実に執心している様子がうかがわれるような、うかがってはいけないような……作中で社会主義革命を国家を使った実験と批判していたのを裏返せば、フィクションの中では積極的に扱う価値がある実験として評価している気がする。
 やっぱりなかなか捻くれているなぁ。

 それにしてもトロッキーソヴィエトが強い。1970年代で世界人口の大多数を傘下におさめている状況は悪夢的なものがある。しかし、スターリンの指導力があったからこそ出来た成長もあった気がするので、これは弊害だけを個人おしつけるいいとこどりにも見えた。それができればほとんどの国が強国になれてしまうよ。


 嶋田技術大佐が指導する溶接の話が、個人的な経験から結構興味深かった。やはり、こちらの状況に応じて見え方は変わってくるものなんだなぁ。

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鋼鉄の紋章―赤い帝国 (ワニノベルス)
三木原 慧一
カテゴリ:架空戦記小説 | 19:24 | comments(0) | trackbacks(0)

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