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惑星地質学 宮本英昭/橘省吾/平田茂/杉田精司

 これ面白い!これ楽しい!な太陽系天体の地質を網羅的にあつかった学術書。その内容は非常にエキサイティングで多様な世界が存在することを教えてくれる。最新知見を最先端の研究をおこなっている研究者たちから短期間で求めており、更新され続けている分野の本にしては有効性が異常なまでに高いのも特徴。
 地質学の知識があると特に楽しめるだろう――こんな教科書で勉強できるなんて羨ましすぎる!

 内容はクレーターなど惑星地質学に目立つ研究対象の基礎と天体それぞれの各論に分かれており目から鱗の連続だった。
 特に印象に残ったのが木星以遠天体の現在の軌道を説明する「惑星大移動説」で、塵も積もれば山となる、時間効果の力の大きさを目の当たりにさせられた思いだ。ちょっと地質学からはずれているけれどなぁ。
 他にもクレーターの半径と深さの関係から惑星ごとの特質が分析されていたり、かなり独特の構造があったり、地球との比較が重要な意味をもっていたりと興味をひかれることがとても多かった。

 ちょっと不満をいえばガス惑星の衛星たちがまとめた章におさめられていて割かれるページ数に物足りなさを覚えることがあった点か。重要性からいってもやはりイオ・エウロパ・タイタンあたりは他の惑星(火星は凄すぎるのでそれ以外)並みの言及がほしかった。
 その辺は編集者側も理解してはいるらしく、写真につけられている解説が後半に行くほど充実していたのは良かったが……あと、情報量が不足しているのも確かだ。まぁ、かなり未知に包まれている水星にあれだけ触れられていたのだから、これまでの素晴らしい研究を集めればできることはできるに違いない。
 土星の環という惑星「地質学」からはやや外れた(ある意味、気象の一種として扱っているのかもしれないが)トピックに筆が割かれていたわりに、ツマ状態の冥王星には泣いた。すっかりオチ担当が板についちゃって――というのは捻くれた見方で、著者らには今まで以上に大きなカテゴリの代表として冥王星は理解されているに違いない。
 ニューホライズンズの到達が待望される。

惑星地質学
惑星地質学
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