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戦略戦術兵器事典1〜古代中国編

 伝説の霞が掛かった殷周時代から三国志の時代までの古代中国の軍事について多角的な視点から解説と考察をくわえてまとめられた一冊。とくに中心となるのは春秋戦国時代であり、戦争が中国のあらゆる技術を発達させていき、また中国圏そのものを形成していったことが伺えて非常に興味深かった。

 前半は戦術や兵器などが見応えのあるイラスト付きで紹介されていて、あまりにも理想化された戦術の説明には――それがモデルであることを理解しつつも――違和感を覚えることがあったものの、いろいろと勉強になった。
 ただ、文章中でいわれる最新研究も今となっては15年前なので、いろいろと新発見があるのではないかと気になってしまう面はある。
 さすがにハードウェア関係の説明は退屈なところもあったけれど、戦術をより愉しむためには必要な知識だと覚悟を決めて取り組んだ。戦国時代にかなり洗練された外交関係の話では異民族対策において、物産の動きから通商路や進撃路が開拓される逸話がおもしろかった。

 そして後半がお楽しみの戦例集となる。
 四大決戦と称してそれぞれ春秋時代からは「城濮の戦い」、戦国時代からは「長平の戦い」、秦漢時代からは「呉楚七国の乱」、三国時代からは「赤壁の戦い」が詳細にとりあげられており、充実した記述を楽しむことができた――楚漢戦争がないのは少し惜しいが。
 さらに一つの戦いあたり1ページにうまくまとめられたデータファイルが非常に素晴らしい出来で、古代中国の主要な戦いについて大よその知識をえることができた。
 連続して紹介される戦争をみていても、周辺部にあって強大化する秦がもたらす圧迫感の激しさが伝わってくる。不利な時には戦争の埒外にあって国力を充実させられる彼の国に対抗するためには国土の拡張が必須であり、そのために侵略戦争を行うことが自国を疲弊さえ外交的にも付け込まれる原因になる状況はかなり泣ける。
 両方やや異民族的な国なのに楚が外交で失点して、秦がうまく立ち回っているあたりに国民性の力を感じてしまったよ。

 それにしても分裂した三国がすべて戦国七雄にカウントされてしまう晋はどんだけ大国だったのやら……。

戦略戦術兵器事典 1 中国古代編 (1) (歴史群像グラフィック戦史シリーズ)
カテゴリ:歴史 | 18:40 | comments(0) | trackbacks(0)

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